Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

解禁なったPCリースリング

2013-07-05 | 試飲百景
漸くPCリースリングが解禁になった。ドイツでブルゴーニュシステムを導入した本家ブリュクリン・ヴォルフ醸造所のPCである。毎年解禁日はずれるが、ザールなどを除けば何処よりも遅い感じになりつつある。勿論満を持しての解禁にはそれなりの意味がある。勿論それなりに質が高くなければ意味がない。

さてルッパーツブルクのホーヘブルクからである。評判を聞いていたので楽しみだったが、酸が丸くなっているだけで、重くはないがその酸が酢酸系になっていてちっとも面白くない。なるほどこうした丸みが通常のワイン飲みには愛されるのかもしれない。

次のゴルトベッヒャルは香りからして待ちわびていたものであり、ミネラル風味が強く出るこのPCシリーズの中では最も残糖を落としたものである。落としたといってもレープホルツ醸造所のそれと比べると一桁も違う。

それに比較すると更に標高の高いダイデスハイムのランゲンモルゲンは、酸も強くシャープである。ここまでシャープな酸のランゲンモルゲンは覚えがないので、量感を補うために早めの収穫となったのかもしれない。とても危険な酸で、六種類を試しただけで歯が知覚過敏になってしまってピーナツなどは到底噛めなくなった。2012年産でこのような体験は、ナーヘのシェーンレーバーなどで若干あるだけでこれほど少量でこれほど攻撃的な酸は知らない。

そもそもこのドイツのリースリングを牽引する醸造所のリースリングが今ひとつ人気の的とはならないのは、伝統的に強い酸と強い清潔感であって、一面では都会的な繊細をよく出しているのだが反面厳しすぎる強さと価格が倦厭された。そして酸が弱い筈の2012年のこの出し方こそが、正しく誤解を生みやすい瓶熟成という将来へ向けた醸造方法なのである。

基本的には酸が十分に分解されてから収穫しないことには二十年後の瓶での成熟を考えると駄目なのであるが、GCでないPCにおいてはその必要もないのである。恐らく二年から五年の通常の愛飲が計算されている。つまりこの最初のリンゴ酸系の鋭さが二年ほどで落ちたときが最大の山ということである。

その意味からは、最初のものにはなんら関心がないが、次のレッヒベッヒャルは予想以上に酸が鋭くおかしな香味がなくて、枯れた藁の感じや薬草臭がよかった。もう一度家で試してから考えてみたいが、その隣のボオェリックは年末頃に山になるのであろう。そうなると、蔵出し小売定価19ユーロは可也高価なワインとなる。もちろん待降節の料理にあわせてとなると、現在の酢酸臭も変わってくるので決して高くはないだろうが、間違っていまこれらを購入して飲み干してしまうと文句しか生じない。

同じような意味で、そもそも細身でストレートさのあるゲリュムペルの酸が弱く丸みを帯びているがまあまあ糖を落としているので俗受けする味となっている。この辺りはその量産体制と市場のターゲットとの関係で醸造事情で明白だ。

正直、最初のものをこの通常価格でも買わなければ割引価格でも買わない。同じだけの価格を出すならばロベルト・ヴァイルの下の価格のものの方が良い。しかし、興味深い三種類となると16ユーロのレープホルツ醸造所のどれをとっても、これらほど瓶づめ後二年間を刻々と楽しませてくれるものはない。要するにお買い得なのである。六本を開ける度に喜びや期待が膨らむ。それに比較すると、レープホルツのそれは二年待った方が得策なのである。

ワインを選択するだけでなくて、その飲み頃をなんだかんだと楽しめる高品質のリースリングとしてこれらほど素晴らしいものはないのである。来週まで一本づつ家で開けながら、最終的にGCまで含めて何を購入していくかを選択していかなければいけない。それにしてもドイツのリースリングのインフレ率は激しい。その質の向上もここまでの数年の様には急上昇は期待できないながらも、まだまだフランスの白からすれば割安感が強い。とうとうフォルストのキルヘンシュトュックの辛口リースリングが蔵出し小売価格で100ユーロになった - グローセスゲヴェックスの最高価格商品である。マルゴーなどに追い付く日もそこに見えてきている。



参照:
試飲会の後で開けるワイン 2013-05-07 | ワイン
十ユーロ越えのテロワール 2013-06-07 | ワイン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする