Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

検問逃れの試飲会帰り

2016-09-11 | 試飲百景
眠い、連日の疲れが取れていないようだ。そこに通常より少し超えたアルコールが入っただけで、分解能力が追い付かなかったようだ。まるで二日酔いの朝のような寝起きなのだが、それほど飲んでいる訳でもなく、夕食が遅くなったことぐらいだ。それでもムズムズする。どうも最近はあまり飲まない体質になったようで、以前ならば飲んでいるうちにスイッチが入って、止まらなくなってしまうというものだ。このようなことは無くなって、その前に感覚が鈍ったようなところでブレーキが入るようになって来た。理由は分からないが、飲酒運転の規制が厳しくなってきたので、少なくとも感覚が麻痺してくるような時点で自然に止めるような習性が身についてしまったのだろう。昔一緒に飲酒していて同じようなことを語っていた女性が居たように記憶するが、それが誰だったかは定かではないが恐らく学者だったと思う。なるほど感覚が鈍るような麻痺状態になると一種の不安に陥ってしまうというのは最近よく分かる。

試飲会に出かけるのに車を走らせると、バイパスの乗降口ごとにパトカーが停車していて、いつでも検問を始めれるような態勢だった。ヴルストマルクトでこのようなことはなかったので、流石に驚いた。飲酒運転規制か、テロ防止かは一向に分からないが、調べてみるとやはりテロ防止対策だったらしい。それでも帰り道つまり会場から離れる方向へは怪しい運転は止められると思い、帰り道を考えておいた。

先ずはいつものように発注したグローセスゲヴェックスを引き取りにデーノッフ醸造所に出向くが、少し17時を回ってしまって、態々自宅から出てきてもらうことになった。その妹さんに話を聞くと、雨量もそれほどではなく天気予報の様に晴天が続くと可成り健康な葡萄でよい年度になりそうだという事だった。何とか無事にワインを受け取り、お目当てのシェーンレーバー醸造所に向かう。

今回は自宅増築のこともあるのか、地下ではなく上での試飲だった。買い付け葡萄ものの「ナーヘリースリング」は特徴的なアルコール臭さと言うか如何にも造り込んだ不自然な味筋で、グーツリースリングの方も2015年特有の味の強さが感じられて興醒めだ。昔はそれでも食中酒として楽しんでいたのだが、もうこの手の酒は要らなくなった。同じような傾向はあっても流石に「ミネラール」は甘みを上手に効かしてミネラルと酸とのバランスが取れている。そして、「ハルガンツ」と比較すると、今度は逆にその雑味などに物足りなさを感じた。そして今年から初めてフリューリングスプレッツヘン産が「フリュータウ」と名付けられていた。全く同じものであるがあの長めの名前が無いと有難味が薄れる。勿論それはVDPの御意向である「グランクリュの名前はグローセスゲヴェックスとしてしか名乗れない」という方針に従っただけに過ぎない。そのお蔭かフリューリングスプレッツヘンは試飲は出来たが業者に全てが買いつくされてしまっていた。

さて、その「フリューリングスプレッツヘン」と「ハレンベルク」を比較する。毎年出来不出来があるが、今年は「ハレンベルク」でも悪くはないと感じた。理由は明らかで充分に味が強いので、態々雑味感の広がりまでは待つ必要が無いと思ったからだ。その点、オークション物の「アウフデアライ」は地所も冷却があって土壌の砂利が多く、涼しいリースリングとして秀逸だった。要するに高級リースリングなのだ。これならば充分にグレーフェンベルクなどと比較可能である。

そして古い年度の「ハレンベルク」、つまり2014年、2013年の「ハルガンツ」と2011年、2008年、2007年の六種類の同じワインを垂直試飲する。2014年は秀逸で、2013年は蜂蜜香、2011年は例の過熟性が厳しい。2008年もそれほど広がることが無く悪くはないが、個人的には2007年が好みである。若旦那に言わせると2007年は部分的にはそれほど良い年ではなくて、2013年と比較するが、あの独特のスマート感がいいのだ。

結局2015年産に関しては結構寝かせるワインである一方、つまりグローセスゲヴェックスで数年、「フリュータウ」でもまだ開かれていないのでもう少し置いておきたいという事になった。結局、高級リースリングばかり飲むとなると、溜めとかないと駄目なので、幾らあっても飲み干してしまうようなことではいつも在庫が足りなくなるのである。

帰りには、バイパスをバイパスする道に入った。以前はマンハイム方面に出かける通勤道路だったところで馴染みがあるのだが、なぜか賑やかだった。多くの人が同じことを考えたようで、その道を通って、ダイデスハイム方面へも車が流れていた。皆が検問を避けて車を走らせていたのだった。



参照:
土産になる高品質甘口ワイン 2016-05-30 | 試飲百景
飲み頃を探る試飲談話 2015-09-15 | 試飲百景
コメント
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