新聞に新しいドレスデンのコンサートホールが紹介されている。旧民主主義共和国文化宮内のホールが、ワインヤード型に一新されたようである。多目的に使われるようだが、ドレスデン市の名門フィルハーモニーカーがそこを本拠地としているらしい。そして興味深いのはエルプフィルハーモニーのそれとは正反対の音響を備えているということで、ユリア・フィッシャーのソロと管弦楽団は分離して聞こえても、全奏となるとプルームになるらしい。そもそも上手な管弦楽ではないのだから演奏が下手なのか、はたまた会場が悪いのかは分からないのではないか。所謂19世紀の和声の響きを美しく導き出すとすれば、現存の指揮者としてはハイティンクなどが有名なようだが、管弦楽団が超一流でなければただの場末のバンドになってしまうからどうしようもないのではなかろうか?
フラッターエコーなども目立つということで調整は必要であり、土間席では頭上を音が過ぎていくので、ベルリンのように舞台の高さを低くしなければいけないと書かれている。現在の指揮者ザンデルリンクは契約を延長しないことには変わりない。その名前の親父のインタヴューを偶々見た。エフゲニー・ムラヴィンスキーについて語るインタヴューである。キリル・ペトレンコの指揮台に落とされる視線を見ていてどうしてもムラヴィンスキーの指揮ぶりが気になったからである。そしてチャイコフスキーでも譜捲りをしているのを見て、全く同じだなと思った。執拗に練習する時間もとれたのであり、それだけの権力を持っていたのだから、その芸術の行きつくところが恐ろしい。
Tchaikovsky Symphony No 5 E minor Yevgeny Mravinsky
そのペトレンコは、来シーズンベルリンでプロコフィエフの協奏曲以外にリヤードフ、シュミットのプログラムを指揮するらしい。それぞれコーミシェオパーとケルンの放送管弦楽団での録音でYOUTUBEでは御馴染みである。四月にニューヨークから帰ってきて殆んど勉強する時間が無いのだろう。興味深いのは協奏曲にシナ人の若い女性をソリストとして迎えていて、まるで追い出すランランの代わりにシナでの市場でも反感を買わないように配慮しているかのようだ。
会見でサイモン・ラトルは、キリル・ペトレンコが後任として選ばれて、「とても幸せだ」として「彼は大物で、素晴らしい音楽家」と称賛した。そして、今後も自ら指揮台に登場することを示唆して、またブリクズィットについては、「破局、百難有って一利無し」と正直に言明している。現時点でもそのような声が出ることがやはり英国の苦悩はまだまだこれからと思わせる。来年六月にサイモン・ラトル監督のお別れ興業として欧州ツアーが組まれている。どうしてもそのあとのザルツブルクとルツェルン音楽祭のプログラムが気になるが、2018/2019年シーズンの初日と同じになる筈で、一体誰が指揮者でどのようなプログラムになるのだろう。
Sir Simon Rattle announces the 2017/18 season of the Berliner Philharmoniker
今最も請われている実力派指揮者と言えばルツェルン在住のあの人しかいない。来年91歳を超えるヘルベルト・ブロムシュテットである。初めてのその指揮ぶりを楽しみにしているのだが、さてどうだろうか?先週末の録音を繰り返し聞く限り、ここぞというところで一息入れて貯めて棒を振り下ろすような感じである。フルトヴェングラー、トスカニーニ、ヴァルターの影響を受けたという指揮者であるが、実演ではその癖はどのように聞こえるのだろう。折角正確に譜面を読み取っているのだから、ペトレンコのように律動を維持しながらアクセルとブレーキを自由自在に掛けられれば問題ないのだが、さてその真意はどこにあるのか。
Bruckner: Symphony No. 6 / Blomstedt · Berliner Philharmoniker
参照:
エルブの容赦無い音響 2017-01-16 | 音
地方の音楽会の集客状況 2017-01-23 | 文化一般
インタヴュー、時間の無駄四 2016-08-03 | 音
フラッターエコーなども目立つということで調整は必要であり、土間席では頭上を音が過ぎていくので、ベルリンのように舞台の高さを低くしなければいけないと書かれている。現在の指揮者ザンデルリンクは契約を延長しないことには変わりない。その名前の親父のインタヴューを偶々見た。エフゲニー・ムラヴィンスキーについて語るインタヴューである。キリル・ペトレンコの指揮台に落とされる視線を見ていてどうしてもムラヴィンスキーの指揮ぶりが気になったからである。そしてチャイコフスキーでも譜捲りをしているのを見て、全く同じだなと思った。執拗に練習する時間もとれたのであり、それだけの権力を持っていたのだから、その芸術の行きつくところが恐ろしい。
Tchaikovsky Symphony No 5 E minor Yevgeny Mravinsky
そのペトレンコは、来シーズンベルリンでプロコフィエフの協奏曲以外にリヤードフ、シュミットのプログラムを指揮するらしい。それぞれコーミシェオパーとケルンの放送管弦楽団での録音でYOUTUBEでは御馴染みである。四月にニューヨークから帰ってきて殆んど勉強する時間が無いのだろう。興味深いのは協奏曲にシナ人の若い女性をソリストとして迎えていて、まるで追い出すランランの代わりにシナでの市場でも反感を買わないように配慮しているかのようだ。
会見でサイモン・ラトルは、キリル・ペトレンコが後任として選ばれて、「とても幸せだ」として「彼は大物で、素晴らしい音楽家」と称賛した。そして、今後も自ら指揮台に登場することを示唆して、またブリクズィットについては、「破局、百難有って一利無し」と正直に言明している。現時点でもそのような声が出ることがやはり英国の苦悩はまだまだこれからと思わせる。来年六月にサイモン・ラトル監督のお別れ興業として欧州ツアーが組まれている。どうしてもそのあとのザルツブルクとルツェルン音楽祭のプログラムが気になるが、2018/2019年シーズンの初日と同じになる筈で、一体誰が指揮者でどのようなプログラムになるのだろう。
Sir Simon Rattle announces the 2017/18 season of the Berliner Philharmoniker
今最も請われている実力派指揮者と言えばルツェルン在住のあの人しかいない。来年91歳を超えるヘルベルト・ブロムシュテットである。初めてのその指揮ぶりを楽しみにしているのだが、さてどうだろうか?先週末の録音を繰り返し聞く限り、ここぞというところで一息入れて貯めて棒を振り下ろすような感じである。フルトヴェングラー、トスカニーニ、ヴァルターの影響を受けたという指揮者であるが、実演ではその癖はどのように聞こえるのだろう。折角正確に譜面を読み取っているのだから、ペトレンコのように律動を維持しながらアクセルとブレーキを自由自在に掛けられれば問題ないのだが、さてその真意はどこにあるのか。
Bruckner: Symphony No. 6 / Blomstedt · Berliner Philharmoniker
参照:
エルブの容赦無い音響 2017-01-16 | 音
地方の音楽会の集客状況 2017-01-23 | 文化一般
インタヴュー、時間の無駄四 2016-08-03 | 音