Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

あり得ないような燃焼の時

2017-05-01 | 文化一般
ウーリ・シュテックが亡くなったとある。メスナー以降未だにアルピニズムが存在したとすれば、この人とアレクサンダー・フーバーの存在は欠かせなかったと思う。少なくともこの人がアルプスの三大北壁などのクラシック課題を単独超高速で走りあがる姿は人類の進化でしかなかった。

当然の如くその目標はヒマラヤの壁へと向けられていたが、前回のエヴェレスト遠征で駆け足で登るその氷が下で働くシェルパの頭上に落ちてきたとして袋叩きにあった。その経験を踏まえて今回は通常ルートから離れて、隣のローツェから下りて来て48時間以内に縦走を成しえる計画で、ホルンバインクロワールをテンジンと登っていたようだ。

享年40歳、6人の救助隊によって、ヌプツェの谷に遺体は収容されたということである。滑落というが、恐らく酸素欠乏の結果としても、あれだけの岩壁を駆け上がる人が滑落するような斜面などはあり得ないと驚くばかりである。

記事が修正されている。事故現場は高度順応のために日曜日の朝に訪れていて、その遺体が収容されたヌプツェフランケの足元へと千メートル落下したようである。単独の行動中とある。最後のターゲスアンツァイガーへのインタヴューで、「完踏して戻って来れる体力があるかどうかでだけで危険を冒してまでやるものではない」としていたようだ。
Ueli Steck's Everest-Lhotse project

Interview | Ueli Steck at Everest Base Camp (24-04-2017 at EBC Nepal)

Ueli Steck, Rekord in der Matterhorn-Nordwand

Ueli Steck VS Grandes Jorasses. 2008. 2 hours 21 minutes

Ueli Steck - "Making of" The North Face Trilogy

Ueli Steck | Mountaineering Legend

Ueli Steck in Les Drus "North Couloir Direct" (VI, Al 6+, M8)

Ueli Steck New Speed Record Eiger 2015

82 Summits In 62 Days, Ueli Steck Tests His Endurance In The Alps, Part 1 | Presented By Goal Zero

Ueli Steck - 82 summits in 62 days, Part 2

Tragedy Strikes Ueli Steck’s 82 Summit Project, Part 3 | Presented By Goal Zero

Ueli Steck - Training for Everest Without Oxygen 2013

RIP - Ueli Steck (1976-2017) The Swiss Machine



承前)明け方思いついてヴィーナーフィルハーモニカ―の予定表を見た。思った通り、金曜日のバーデンバーデンのプログラムが週末の定期コンサートで演奏されて、日曜の午前中からオーストリアの放送局で生中継される。前日もブルックナー交響曲4番の版やら演奏を探していてなかなか所望する材料が出てこないのでイライラしていた。それならばブロムシュテット演奏するそれを材料とすればよいと考えた。

急いでパン屋に行って峠まで駆け上がって、録音の準備をしていたが、正直この指揮者の生を聞いたこともなく、座付き管弦楽団のその演奏態度も知っているので、ここでつまらない演奏を聴いてしまうと態々バーデンバーデンにまで燃料を消費して出かける価値が無くなるかもしれないと心配になった。

しかし憂慮は徒労に終わった。詳しくは改めるとしても、モーツァルトのテムポの鮮やかさは90歳とは思えない軽やかさで、肝心のブルックナーも恐らく現役指揮者の中では筆頭のブルックナー指揮者ではないかと思った。何よりも、キリル・ペトレンコまでは至らなくても楽譜の隅々までに目が行き渡っているのは確かで、そこまで適格に指摘されると座付き管弦楽団でも真面目に演奏しなければいけなくなる。その様子が如実に表れていて、明らかにお互いの疎意さえ感じさせたペトレンコ指揮の定期演奏会とは大分趣が異なった。

兎に角、期待して鳴らしたギュンター・ヴァントの演奏もただただ喧しく、各声部を同じ勢いで鳴らしまくるだけで、なるほどペトレンコが指摘したように「焼香臭さから交響的な構造物へ」は分かるのだが、余りに管弦楽が制御が効いていなさ過ぎて話しにならない。やはり、最もブルックナーらしいオイゲン・ヨッフム指揮の演奏録音をネットで探していたのだった。(続く)



参照:
Extrem-Bergsteiger Steck stirbt am Mount Everest, FAZ vom 30.4.2017
人類の将来の進展のために 2012-12-02 | アウトドーア・環境
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