メーデーの晩は、楽劇「影の無い女」を観た。手元にヴィデオは保存してあるので、折角のARD中継だからと、小さな画面を観乍ら録音だけをした。出だしの景と染物師バラックと嫁さんのいい場面を観ていて気が付いた。今まで観ているものとはカメラアングルが異なることに気が付いた。嫁さんの美しくないお尻を掴む場面で、そのあとにキリル・ペトレンコの指揮姿が映っていたのが、放送では綺麗な角度でそのまま舞台が映されていた。
調べてみると、ARD-Alfa放送のHPには12月1日の上演録画となっている。初日が2013年11月21日であるから、いつものように初日シリーズの最後の方で生中継録画されている ― 初日はラディオ放送があったのだろう。通常は劇場のネットストリーミングだけなのだが、このときは劇場再開50周年並びに音楽監督初新制作ということで通常のARDチャンネルで生放送されたようだ ― 残念ながらオペラなどには関心が無く、TVも観ないので全く記憶にない。つまり、今回放映されたのは、手元にあるフランスで生放映されたものとは、一部異なり、画像のみ編集されているのだろう。
音質は、最初の幕開けのPAを通った演出上の音は割れているが、今まで気が付かなかったようなプロムプターの声がひっきり無しに聞こえる位で、倍音成分も伸びていて、臨場感溢れてとても新鮮であった。だから今までのヴィデオに比して大分良好で、高音質録音した甲斐があった。個人的には劇場中継版で充分であり、演出作品を態々観ようとも思わないが、確かにカメラアングルがすっきりしていた。
今回改めて通してみて、歌手陣は2014年暮れの再演の時からすると初日シリーズは当然良い。そしてこの7月にも再演されるようだが、ティケットがまだ余っている ― 昨年「家庭交響曲」を学習してその影響が活かされる筈だ。少なくともコッホのバラックとパンクラトーヴァの嫁さん役だけでも間違いなく聴きものである。今回も名場面を観ているとこちらも感情が昂るほどの素晴らしい舞台である。そして先ごろ亡くなったボータの皇帝と乳母役のポランスキーが皇后を演じるピエチョンカを更に引き立てていて見事である。
こうして繰り返し観てもやはりペトレンコが「他のシュトラウスのオペラと比べて複雑で多面的で、見落とされがち」と語っている通りに、模倣の作曲家もここで「ばらの騎士」のエンターティメントから抜け出そうと戦っている。そして、7月のティケットが完売していないのにもみられるように、やはり多くの聴衆にとって難しい作品ということであろう ― 「モーゼとアロン」のイデオロギーでも無く、知的程度の高さでも無く、大地に根を張ったような文化やその教養が試されているからかもしれない。偶々予定があるので出かけられそうにないが、これだけ美しい音楽を三時間も楽しめるならば出来れば再訪したいと思う。音楽劇的にも全く古びておらず、内容的にとても新鮮だ。
それにしても久しぶりに三幕まで通して観て ― 三幕だけは天井桟敷の最前列で舞台が見たが、こうしてより新鮮な音質で聴いて、三年前のそれへの記憶が遠くなっているのに気が付いた。こうして良い音色で聞き返さないと感覚的に記憶を呼び起こされなということだろう。しかし視覚的には殆んど覚えていなかった。どうも初めてみる指揮ぶりばかりを眺めていたのに違いない。
Video Magazine DIE FRAU OHNE SCHATTEN – Conductor: Kirill Petrenko
参照:
竹取物語の近代的な読解 2014-12-31 | 文化一般
入場者二万五千人、占有率93% 2017-04-21 | 文化一般
調べてみると、ARD-Alfa放送のHPには12月1日の上演録画となっている。初日が2013年11月21日であるから、いつものように初日シリーズの最後の方で生中継録画されている ― 初日はラディオ放送があったのだろう。通常は劇場のネットストリーミングだけなのだが、このときは劇場再開50周年並びに音楽監督初新制作ということで通常のARDチャンネルで生放送されたようだ ― 残念ながらオペラなどには関心が無く、TVも観ないので全く記憶にない。つまり、今回放映されたのは、手元にあるフランスで生放映されたものとは、一部異なり、画像のみ編集されているのだろう。
音質は、最初の幕開けのPAを通った演出上の音は割れているが、今まで気が付かなかったようなプロムプターの声がひっきり無しに聞こえる位で、倍音成分も伸びていて、臨場感溢れてとても新鮮であった。だから今までのヴィデオに比して大分良好で、高音質録音した甲斐があった。個人的には劇場中継版で充分であり、演出作品を態々観ようとも思わないが、確かにカメラアングルがすっきりしていた。
今回改めて通してみて、歌手陣は2014年暮れの再演の時からすると初日シリーズは当然良い。そしてこの7月にも再演されるようだが、ティケットがまだ余っている ― 昨年「家庭交響曲」を学習してその影響が活かされる筈だ。少なくともコッホのバラックとパンクラトーヴァの嫁さん役だけでも間違いなく聴きものである。今回も名場面を観ているとこちらも感情が昂るほどの素晴らしい舞台である。そして先ごろ亡くなったボータの皇帝と乳母役のポランスキーが皇后を演じるピエチョンカを更に引き立てていて見事である。
こうして繰り返し観てもやはりペトレンコが「他のシュトラウスのオペラと比べて複雑で多面的で、見落とされがち」と語っている通りに、模倣の作曲家もここで「ばらの騎士」のエンターティメントから抜け出そうと戦っている。そして、7月のティケットが完売していないのにもみられるように、やはり多くの聴衆にとって難しい作品ということであろう ― 「モーゼとアロン」のイデオロギーでも無く、知的程度の高さでも無く、大地に根を張ったような文化やその教養が試されているからかもしれない。偶々予定があるので出かけられそうにないが、これだけ美しい音楽を三時間も楽しめるならば出来れば再訪したいと思う。音楽劇的にも全く古びておらず、内容的にとても新鮮だ。
それにしても久しぶりに三幕まで通して観て ― 三幕だけは天井桟敷の最前列で舞台が見たが、こうしてより新鮮な音質で聴いて、三年前のそれへの記憶が遠くなっているのに気が付いた。こうして良い音色で聞き返さないと感覚的に記憶を呼び起こされなということだろう。しかし視覚的には殆んど覚えていなかった。どうも初めてみる指揮ぶりばかりを眺めていたのに違いない。
Video Magazine DIE FRAU OHNE SCHATTEN – Conductor: Kirill Petrenko
参照:
竹取物語の近代的な読解 2014-12-31 | 文化一般
入場者二万五千人、占有率93% 2017-04-21 | 文化一般