Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ケブラーでしゃっきっと

2013-10-01 | アウトドーア・環境
ケヴラーのシュリンゲを購入した。ドロミテでデモンストレーションをされて欲しいと思っていたものである。ケヴラーとはデュポン社が開発したベンゼン環の芳香族ポリアミドの水素結合によるアラミード繊維である。それゆえに謳い文句は、同質量で鋼鉄の五倍の強度があるとなる。

タイヤなどに使われることや防護服の素材としても有名で身近に結構使用されていると思うが、そのもの素材を使ったという印象はあまりない。クライミングの分野でも長く素材については聞いてはいたが、今まで使ったことが無かったのはその扱い難さからであったようだ。

紐そのものを結びつけるにはそれなりの結び方でしっかりと締めなければいかず、更に末端処理などの加工性もその素材の性質上良くないのである。今やハイテク素材は溢れていて、強度だけならば十分のものも幾らでもあり、更にダイニーマなどは軽量であるためにクライミングでももはや欠かせない素材となっている。

それゆえにそれほど軽くはない細引きを使うにはそれなりの用途が定められる。何よりも素晴らしい性質は写真で示すように立ってくれることで、こうした道具はいろいろな意味で頼れる存在なのである。なによりも所謂砂時計と呼ばれる岩の柱の裏側の細い隙間にシュリンゲを通して中間支点とする場合に、指などで苦労して押し入れることもなく差し込めるのが有り難いのである。

こうした場合は、ダイニーマなどのふにゃふにゃの素材では足場も不確かな中でイライラさせられるだけでなく、上手く素早く穴深く挿入できないと転落の危機に瀕することになるのである。少しの装備だけで生死を左右されるのは御免なので、適当な商品を見つけ次第注文したのである。

何よりもこのメードインジャーマニーの良さそうなのはエーデルリット社の縫い合わせの信頼性と三種類の長さのなかで取り分け60CMが結構固く立ってくれることである。いざとなれば上のハーケンなどにも「投げ縄」が出来そうで心強い。結び目を入れて22KNで十ユーロ弱であるから文句は無い。腰に差しておくのも邪魔にならない。

そして何よりも良いのは最近はテープ状のものばかりを使っていたので、久しぶりに細引き状のシュリンゲが出来て、岩角の摩擦などにも強く耐えられるために、十分な安全対策を取れるようになる。重量32Gは同じ長さの同じ強度のダイニーマの18Gに比較すると大分重いが、機能が違うので許容範囲内である。

ドロミテから帰って来てからは以前に増して中間支点を中心により安全な確保システムの構築に神経を使うようになってきていて、それなりに経験値が上がってきたからである。特に限界域での登攀が増えるとなると、もはや中間支点などの設置にもたもたしていたのでは到底登れなく、それ挑戦そのものを断念してしまわなければいけなくなるのである。登攀で最も体力を使うのは中間支点の設置であるということを思い起こせば当然の帰着である。



参照:
たかが細引きとは言え 2013-07-19 | 雑感
楽天主義に誘惑された 2012-07-12 | 歴史・時事
コメント
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