先日、私が外で草取りをしていると、近所の車いすのお年寄りが送迎の車に乗って戻ってきた。
この方は、私がここに引っ越してきたころは、まだ70代でご主人共に元気だったのだが、今は80代後半となり、病気や怪我をきっかけにして歩けなくなってしまったそうだ。ご主人は亡くなり一人暮らしである。またお子さんは還暦前にして、先に亡くなってしまったそうだ。
デイサービスにでも行ってきたのかと思ったら、そうではなく週に3回人工透析に行っているそうだ。
4時間もかかって疲れてしまうと言っていた。
私は、人工透析をすると血液がきれいになるから元気になるのかと思っていたが、意外だった。透析中は寝てはいけないのだそうで、それも疲れる原因だそうだ。
その人は、一旦車から降ろされて自宅に送り届けられたようだが、またすぐに外に出てきた。
そこで本人から上の話を聞いたわけだが、到着してすぐにまた出てきたのは、家に食べ物が何もないので買いに行くのだという。
送迎の車の人に、途中のコンビニの前で一旦降ろしてもらいたいと頼んでもダメなのだそうで、送迎の人は家と病院の間を往復するのが仕事で、それ以外のことは禁止されているとのこと。
それで、そのほかには週に1回ヘルパーさんが来るので、買い物を頼むことができるが、1週間に1度では食べ物も無くなってしまうため、その他は自分で買い物に行かないといけないのだそうである。
そして、車いすの車輪を自分で回して進み始めたが、数m進むと止まってしまった。少しずつ休みながら行くから大丈夫だという。
しかし、健康な人が2~3分もかからないで行けるような距離でも、体力のない人が車いすで買い物に行くのはかなり大変そうだった。
それで、私が草取りを適当なところで止めて、車いすを押してコンビニまで行ってあげることにした。
コンビニの中も車いすを押して移動してあげると、本人が冷やし中華やアイスやゼリーなどを選んで買ったので、また車いすを押して帰ってきた。本当に助かったわとお礼を言ってくれた。
アタマはしっかりしているようであった。
玄関まで送り届けて別れた。
その後、別の近所の人と話をする機会があったのだが、その人の話によると意外な情報が入ってきた。
福祉の人などから、その人に対してあまり親切にしてはいけないと言われているのだそうだ。
介護保険を利用して受けられるサービスが決まっており、それに即した内容を提供しているため、それ以上のことを近所の人が手出ししないようにというのである。
近所の人が手伝ってあげると、それをあてにしてしまうし、ヘルパーさんも不要のようになってしまう。
介護保険を利用してヘルパーさんに頼むと、それなりの費用がかかるのだそうだ。それを節約するため近所の人に頼めば無料で済むが、そのうちどんどん頼ってくるので近所の人も耐えられなくなってくるのだとか。
それにしても、自分で料理ができるわけでもなさそうで、1週間に1回食材を買っておけば何とかなるようには思えないし、いちいち車いすの車輪を手で回して買い物に行くのもかなり大変そうだ。
電動車いすでもあれば、まだ動きやすいとはおもうのだが。
近所の人が何の手助けもせず、関りを持たないというのも、なんかとても冷たいような気がするが、確かに私とて毎日頼まれたりしたら、そこまで面倒は見切れないなあと思うのだった。
透析の帰りに、送迎の人が、ついでにコンビニによって買い物をさせてくれたら効率が良さそうなのだが、用途が違うのだというし、改めて買い物のためにヘルパーさんを頼むと、そこでヘルパーさんの移動時間や勤務時間も改めて確保しなくてはならず、そのたびに有料の費用を支払うというのも負担だろう。
なんだかな~
こんなふうになったら、もう介護付き老人ホームに入ってしまったほうがよさそうだと思ったのだけど、そんなにすぐに入れるものでもないのだろう。
自分とて、80代後半になったら、同じような状況にならないとも言えないし、年を取って自力で生きていくことは本当に大変だと思う。