バンドの生演奏とドラマが融合して作り上げられる芝居。バンドは単なるBGMではなく、ドラマに大きく関与していく。バンドのメンバーもキャスティングされているが、彼らは芝居を演じるのではなく、そのままミュージシャンとして、この作品世界に存在する。彼らがドラマを動かしていくきっかけを作る。
こういうスタイルでこれまでも3作品が作られてきたらしい。僕はこの集団の作品は今回が初体験だったが、なかなか刺激 . . . 本文を読む
表題作以上に同時収録された『十八階ビジョン』がすばらしい。生田紗代が23歳の頃の作品。2005年7月発売。彼女の描く日常生活の断面は実にシャープだ。何も事件なんかないのに、ドキドキさせられる。会社を辞め、実家に戻った私(23歳)。両親が5日間の中国旅行に行ったことで、高校生の妹と2人で過ごすことになった日々を描く。
友だちとの会話や、妹とのなんでもないやりとりが綴られていくのだが、そのあまり . . . 本文を読む
満月動物園がここまで甘い芝居を作るだなんて、今まで決してなかったことだ。さらには、彼らは(というか、戒田さんは)今回初めて本格的に「恋愛もの」に挑戦している。これもまた意外なことだ。これまでそういうテーマは避けてきた。戒田さんはそういう芝居を作ってはこなかった。どういう心境の変化が彼の中に在ったのか、いささか気になる。「もう34歳ですからね」なんて、終演後に言ってたが、それは答えにはなってない。 . . . 本文を読む
中村賢司さんらしいまじめで重い芝居だ。昭和64年1月と、平成22年8月という2つの時間、同じ場所(とある高校の、かつては宿直室であり、今は女子職員の休憩室となっている部屋)でのドラマが、高校という閉鎖的な空間での様々な問題を浮き彫りにしていく。これはよくあるような学園ものではない。だいたい生徒たちは一切出てこない。
夜の学校にたむろする卒業生たちを描く昭和のパート。ここでの彼らは、なんだか懐 . . . 本文を読む
大学の演劇サークルを舞台にした青春小説である。生田さんがこういうものを手掛けるなんて驚きだ。普通の女の子、南夕夏が主人公。彼女は大学に入学してサークルに入ろうとする。その時、今まで経験したこともない芝居をやってみようとしたのは、高校時代、ある女の子が演劇をしていたのを見ていたからだ。彼女は教室ではまるで目立たないのに、ESSで英語劇をしている時だけはまるで別人のように生き生きしていた。誰もそんな . . . 本文を読む