
コーエン兄弟の映画を見て、初めて「つまらない、」と思った。これはショックだ。しかも、これは全然つまらなくなるような映画ではないのに、である。設定のバカバカしさは彼ららしい。こういうタイプのコメディなら得意なはずだ。(というか、彼らはどんなジャンルでも器用にこなせる)なのに、まるで弾まない。はしゃいでるのに空回り。
50年代のハリウッドを舞台にして、映画人たちの、めちゃくちゃブリを笑い飛ばす、はず。華やかなハリウッドの舞台裏で、さまざまな人間関係が描かれる。誘拐されたジョージ・クルーニーを中心にした群像劇なのだが、勝手気ままなハリウッドの役者たちのわがままを笑いながら楽しめたらいいのだが、なんか、あんまり楽しめない。テンポも悪くて、途中で眠くなる始末。(レイトショーで見たのも影響しているかもしれない)
登場する人たちがあまり魅力的ではないのが大きい。あちらこちらとエピソードは散らばり、とっちらかったおもちゃ箱のような状態で、それも狙いだったはずだが、まるで機能していない。なんだかんだあるけど、みんな映画が好き、というのがこの手の映画のパターンなのだが、そういうベタなことはやりたくなかったんだろうな、とは思う。でも、それにしてもこれはあまりにあっさりしすぎた。コーエン兄弟でも失敗はするんだ、というのが新鮮な驚き、なんていうのでは納得しないんだけど。