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映画・演劇のレビュー

『暗殺教室 卒業編』

2016-05-30 22:34:03 | 映画

 

3月公開の映画なのだが、ようやく見ることになった。実を言うともうパスするつもりだったのだが上手く時間が合うので見たら、思いもしない傑作で、これを見逃さなくてよかった、と思う。昨年公開の1作目は、中途半端な作品でがっかりだった。前作は、2部作構成で続編への布石だけ、というような終わり方で、騙された気分にさせられたのだが、あの地点ではまだ続編製作は決まってなかったらしい。でも、あの終わらせ方はあんまりだった。何の決着もつかないし、ただただお話の途中でぶつぎりにした、って感じで、実に感じ悪い映画だった。もし、ヒットしなければ、あれで終わりの不完全燃焼。大ヒットしたから、続編の製作が決まった。ほんとうによかったぁ。

 

そこで、今回は最後までお話を作れる。今回は殺せんせーの謎が解明される。前回は声の出演だけだった二宮和也が前面に出て、お話をリードする。彼がなぜ殺せんせーになったのかがちゃんと描かれる。これがなければこの映画は成り立たなかった。しかもそれまでは「学園もの」のはずだったのに、なんとラブストーリーにもなる。一応SFだったけど、そこもちゃんと整合性のあるドラマ展開を見せる。その上、「学園もの」の定番の展開を無理なく見せていく。感動の幕切れだ。アクションもちゃんとあるしで、フルコース。

 

卒業まであと半年。暗殺のターゲットだったはずの殺せんせーが大好きになったE組のみんなは、先生と別れたくない。なんとかして先生を救おうとする。そんな時、殺せんせーもまた彼らに心を開き本当のことを話し出す。前作が中途半端でつまらなかったのは、先にも書いたとおりだ。だが、あのバカバカしい設定で大はしゃぎした前作はこの作品を作るための布石でしかなかった。あれがなければ今回のしんみりしたドラマは作れなかったのだ。とは言え、相変わらずバカな映画で、そんなこと充分わかって作っている。だけど、そこにちゃんと大事なことを描き込む。

 

たった1年間だけど、全力で生徒たちと向き合うことで大切な時間が輝く。そして、未来につながる。そんな当たり前のことをきちんと教えてくれるのだ。そういう意味でもこの映画は貴重だ。


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