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映画・演劇のレビュー

『怪談レストラン』

2010-09-06 21:20:36 | 映画
 こういう健全な子供向きの娯楽映画が最近はめっきり少なくなっている。まぁ、商業映画は、お客を集めてなんぼ。だから健全な児童向けの映画なんて作ってもまるで金儲けにはならないから、作らない。当然のことだろう。子供たちに人気の本らしい。TVアニメにもなっているようだ。僕は何にも知らなかった。ただ、こういうのんびりした感じの映画に心魅かれて、劇場に行く。

 映画は、なんとも言い難い緩いタッチの映画で、とても大人の鑑賞には耐えられないが、ちいさな子供たちには、けっこう受けていた。5歳くらいの女の子が「きゃぁ、きゃぁ」言いながら喜んでいた。なんだか、微笑ましい。終わった後、母親に「怖くなかったよ。大丈夫だった!」と喋っていた。

 昔、『学校の怪談』がヒットしたことがあるが、これは現代版の「あんな感じの映画」(あれは大人の鑑賞にも堪え得る娯楽大作だったが)か、と思って劇場に行ってみたのだが、先にも書いたように、予想以上になんとも緩いタッチのお子さまランチだったのだ。でも、それでがっかりしたのではなく、このタッチがなんだか懐かしい。世知辛い世の中になり、こういうどうでもいいような映画にはなかなかお目にかかれなくなった。だから、のんびり見ていられて、楽しかった。前菜はアニメで、そのエピソードを踏まえた本編は実写という、子供が喜びそうな単純豪華なスタイルもいい。(

 死神からメールが来て、それが4通届くと消えてしまう(死んでしまう)という事件の謎を解明する中学生少女怪奇探偵(工藤綾乃)が主人公。彼女が、とてもかわいい。まだ、幼い少女だが、もう子供ではなく、でも大人でもない。その中間にある中途半端さがいい。

 怪談レストランが舞台となるのだが、レストランと言いながらも、なんでレストランなんだか、よくわからない。レストランなのに、まるで料理が出ないのもなぁ、と思う。闇のギャルソン(勿論幽霊!)の西村雅彦が、白塗りで楽しそうに演じている。スケールの小さな映画だが、その安っぽさは楽しい。消えてしまった仲間を助けるため怪談レストランにやってきた5人が、いろんな幽霊たちと出会い、きゃぁ、きゃぁ言いながら大騒ぎするだけの映画だ。それで充分!


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