棚瀬さんが1年を待たずに新作を発表してくれたことがとてもうれしい。南船北馬として再出発した棚瀬さんの描く世界は今までのものとは、いささか趣を異にする。ここに描かれる世界は構造が図式的で、とても見やすい。観念的だった従来の作品世界とはまるでアプローチが違う。お話よりもまず、世界の成り立ちが先にある。そのシステムの中でどう生きていくのかが描かれる。理不尽なものも含めて受け入れざるを得ない。ここに描かれる4つの視点は、ある種のパターンである。そこからドラマを発想する。位相をほんの少し変えるだけで、世界まで変わる。だが、そこに生きる人間は変わらない。
2話からなる。2人芝居、2本立というスタイルだ。それぞれ上演時間は45分。東西編は得田晃子さんと横田江美さんが演じる。2人の間には壁がある。(それは象徴ではない。舞台にはちゃんと壁が作られてある!)これは越えられない。彼女たちは、それぞれの場所で、同じように生きて、暮らしている。壁を通して様々な会話をする。だが、この壁は越えられない。南北編は出口弥生さんと真野絵里さんが演じる。2人の間には何ともしがたい落差がある。東西編と同じように、2人は交わらない。
とてもわかりやすい図式だ。だが、この芝居は、その図式からどんどんはみ出していく。昨年の『それでもワタシは空をみる』はゲーム感覚の芝居だったが、今回は、従来のように感性や生理に頼って、芝居を綴る。日常生活がベースとなる。だが、そこから逸脱していくものがあり、そこには綻びが出来る。そんな世界にあっても彼女たちは逃げない。自己の内面をみつめる作業を通して見えてきたものを、反古にして、世界とのせめぎ合いの中から見えてくるものを丹念に綴る。そこにドキドキさせられる。自閉的な芝居ではない。
2話からなる。2人芝居、2本立というスタイルだ。それぞれ上演時間は45分。東西編は得田晃子さんと横田江美さんが演じる。2人の間には壁がある。(それは象徴ではない。舞台にはちゃんと壁が作られてある!)これは越えられない。彼女たちは、それぞれの場所で、同じように生きて、暮らしている。壁を通して様々な会話をする。だが、この壁は越えられない。南北編は出口弥生さんと真野絵里さんが演じる。2人の間には何ともしがたい落差がある。東西編と同じように、2人は交わらない。
とてもわかりやすい図式だ。だが、この芝居は、その図式からどんどんはみ出していく。昨年の『それでもワタシは空をみる』はゲーム感覚の芝居だったが、今回は、従来のように感性や生理に頼って、芝居を綴る。日常生活がベースとなる。だが、そこから逸脱していくものがあり、そこには綻びが出来る。そんな世界にあっても彼女たちは逃げない。自己の内面をみつめる作業を通して見えてきたものを、反古にして、世界とのせめぎ合いの中から見えてくるものを丹念に綴る。そこにドキドキさせられる。自閉的な芝居ではない。