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映画・演劇のレビュー

『進撃の巨人 [前編] 紅蓮の弓矢』

2015-07-23 21:06:19 | 映画
なんで後編を見てから(後から)前編を見るかな、と自分でも思う。ちゃんと前編を見てから、劇場に行けばいいのに。でも、仕方なくそういうことになった。そして大方の(もちろん、僕の、だが)予想通り、この前編は実に素晴らしい出来だ。

特に冒頭の子供時代のエピソードが秀逸だ。100年が過ぎた。壁が巨人たちから彼らを守り、幸せに暮らしていた。しかし、この壁の向こうに行きたい。狭い世界から飛び出して、広い世界を見たいと願う。主人公のエレンのそんな想い、それが彼が置かれた状況とともに描かれる。そこがとても的確に描かれてあり、そこから一瞬で、平和が壊れていくシーンへとつながる。このプロローグ部分が圧倒的に素晴らしい。だから、この作品世界に一気に引き込まれる。

5年後、再び壁が壊され、混乱と恐怖に叩き込まれる。ここからが本編だ。お話が単純で、アクション中心の展開になるのだが、TVシリーズの13話を2時間にまとめたお話は、適切で最初から映画のために作られたのではないか、と見まがうばかり。エレンが巨人化するという展開は後編を先に見ていたから、驚かなかったけど、実にうまい展開のさせ方だと改めて思う。


それだけに(ここでは余談になるのだが)先に見た後編は分が悪い。この前編と較べると、後編は実にもたもたした展開なのだ。話が素直に流れていかない。

巨人が何者なのか。世界はどうなっているのか。エレンはどうなるのか。ミカサの存在の謎。それだけではなく幾つもの謎はそのままで、これから先に持ち越されるけど、まるでそんなことは気にならない。それは、この映画が描く世界観が明確で、そこからお話はどんどん広がっていくからだ。とてもよくできた映画だと思う。それにしても、人間を丸ごと食らう巨人たちの存在。そのビジュアルの強烈さ。そこがこの作品の凄さの源泉だろう。

この世界観を樋口真嗣監督による8月公開の実写版2部作はどう見せるのか。果たしてアニメ版を超えることができるのか。楽しみだ。


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