久々のあうん堂は『語りのとき』編と『集いのとき』編の2本立て。まず『語りのとき』から見る。
なんとこれは26年前のあうん堂旗揚げ公演『あやなきまにまに』の続編だった。あの時夜の産婦人科待合室で出会ったふたりが24年後の今日、偶然再会する。記憶障害を抱えて生きる山村(杉山寿弥)と、原田(杉原淳平)。まさかの再会。
あの頃の話、今の彼らの生活。昼間の公園のベンチで語り合う時間。それぞれの現状が語られるのではなく、あの時生まれた子どもたちの話が中心になる。あれからもう四半世紀が経つ。子どもたちは24歳になる。そして目の前にいるふたりもあれから24年の歳月を重ねた。
もちろん26年前に演じたふたりが(再演の2000年に続いて)再び同じ役を演じる。お互いちゃんとリアルに年を重ねている。お話自体はたわいない。そう言えば先日見た映画『パスト・ライブス 再会』とよく似たシチュエーションだ。あまりに長い空白があり、しかもこのふたりは映画のふたりとは違い、まるでこの間交流もないし、この偶然がなければ再会することもなかった。あんなに劇的に出会ったにも関わらず。でも現実ってこんなものだろう。だからこそこんな偶然がうれしい。この芝居のさりげなさがいい。これはたいしたことではない。だから愛おしい。