1964年の日活映画。浅丘ルリ子の100本記念作品だということ、らしい。地味な内容だけど、かなりの力を入れた大作仕様の文芸大作映画になっている。モノクロの荒々しい映像は素晴らしい。だけど、なんだか話に乗れない。
お話はただ、表面的なものにしかならない。浅丘ルリ子がとても美しいからそれだけでもいいけど、その熱演は残念ながら空まわりしている。相手役がなんと伊丹十三(まだ一三名義で)である。地味。でも、そこはいい。小林旭や石原裕次郎とかでは、この映画は成り立たない。
神話的な愛の物語なのだが、なんだかスケールが小さい。彼女の頑ななまでもの夫への愛が何なのか、よくわからないまま突き進んでいくから映画に取り残される。わがままで独りよがりにしか見えない。そんな彼女の死を村人たちが讃えるような展開もなんだかなぁと思う。冒頭の彼女の七回忌の儀式に見合うだけのお話が欲しい。あまりに大袈裟過ぎる。