
ただ、身長が異常に低かっただけで、みんなから気味悪がられる。バカにされて、差別を受ける。146センチメートルという、ただそれだけで人生がねじ曲げられてしまう。そんな彼が170センチメートルの美女に恋するというラブストーリーから、これをコメディだと予測する人はもうその時点で、差別主義者だ。
これはコメディなんかじゃない。とんでもなくリアルで切実なお話で、感動的な作品。自分のハンディを自分の力で乗り越えていく男と、そんな彼を好きになってしまうけど、周りの目が気になって、一歩を踏み出せない彼女、という図式。
とても上手い作劇で、ラストまで緊張感を持続させる。つかみのへりからのダイブのシーンで作品世界に引き込まれ後はラストまで一気だ。作り手の姿勢が素晴らしく、その結果これは特殊なお話なんかじゃなく、ある種の普遍性する獲得する。僕たちの誰もが彼のような強さを持てたなら、と思わせてくれる。生きる勇気を与えられる映画だ。