
47年ぶりの再演だという。若かりし日の唐十郎による渾身の作品を、久保井研が若い役者たちを率いてエネルギッシュに再現する。台本自体に力があるから、グイグイと引っ張って行かれる.まだ何物でもなかった唐十郎がその仲間たちと時代を切り開いていく瞬間を背景にしている。時代の寵児として60年代終わりから70年代にかけて、全力で駆け抜けていった頃、そのエネルギーが今一度ここによみがえる。
何が何だかわからないけど、舞台から目が離せない。役者は決して上手いわけではないけど、その勢いに押されて、舞台から目が離せない。このバカバカしくて荒唐無稽な作品世界にどんどん引き込まれる。これぞ、ザ・アングラの魅力。21世紀の今でもこの作品は充分に通用する。
21世紀に入ってもコンスタントに新作を作り続けてきた唐十郎だったが、闘病中の今、彼の志を継いで自らが唐十郎となり、演じ、演出する久保井研。これはそんな彼の渾身の作である。2時間30分に及ぶ長尺を2部構成で見せる。本当なら3部構成3時間の大作のままでもよかったのだが、今の時代のニーズに合わせて休憩は1回に抑えて2時間半に仕上げた。
だが、忠実にオリジナルのテイストを再現することで唐十郎のスピリッツは受け継がれていく。その時これは古典ではなく、今を感じさせる作品として立ち上がる。冒頭、銀粉蝶のオンステージからスタートして、怒濤の展開でラストまで、これこそがアングラだ、と声を大にして叫べる。