実は今回はお手上げだ。覚悟して見始めてのだが、体調もよくなくて、何が何だかわからない。杉本さんの綴る観念的な世界は視覚的にも面白いし、興味深いのだけど、とりつく暇を与えない。
50分の中編作品になった「居座りのひ」と「月並みにつぐ」は、別々の作品として上演された2作品のイメージを継ぎ接ぎにして1作品とした。もちろん原型をとどめているけど、それが何を意味するのかは、よくわからない。ウイングカップ6で最優秀作品賞となった『居座りのひ』はとても好きな作品だった。そこに漂う雰囲気に魅了されたのだが、今回そのイメージを残したまま再構成された作品は前作以上に淡いものになっていた。
15分の休憩を経て上演される『水平と婉曲』は最初はストーリーを持つもののように見えたけど、徐々にいつものパターンになる。作品に取っ掛かりがないから、苦しい。
これまでのN2の集大成というべき作品集なのかもしれない。イメージが分解したまま、空中を漂う。ストーリーを語るための演劇ではない。ここに提示されるイメージをそのまま受け止める。だけど、それが意味として残らないから、流されるばかりだ。とりとめもない。でも、そんな空気感が堪らないという人もいるのだろう。とても疲れていたこの日の僕はまるで無理だった。ごめんなさい。