
サブタイトルに『ゾンビになるまでにしたい100のこと 』とある。昔そんな感じのタイトルの映画(『死ぬまでにしたい10のこと』)があったが、(これはそのパロディでもあるが、)100もしたいことが思いつかない。でも大丈夫。ひとつずつやっていけばいいし、また思いついたら足していくといい。これはそんな感じで、生きることにした青年の10日間を描く爽やかな青春映画。
夏のホラー映画特集(勝手に自分に課した)の第3弾。今回もそうだが3本とも普通のホラー映画ではない。これは「爽快青春コメディゾンビホラー」とNetfliXの紹介にはあった。だからこれは分類上はコメディにされているがそれも納得。だが、やはりこれはまず青春映画だ。仲間との連帯の中から自分の生き方を模索していく青年の成長物語なのである。
まるで期待しないで見始めたのだが、これが期待の遥か上を行くまさかの秀作で驚くし、あきれる。ばかばかしい映画だけど、バカを本気でやっていて真面目。
主人公(赤楚衛二)は憧れの業界に就職して大喜びしてたが、そこはまさかのブラック企業でもう仕事に行きたくない。死にたい。
だが、ある日突然世界はゾンビだらけになっていた。もう世界は終わりだ。だから仕事に行く必要がなくなったと大喜びする。なんなんだこれは!という展開。まず、この展開からしてバカバカしい。さらにこの後、バカはどんどんエスカレートしていく。彼のノーテンキ振りには呆れ果てる。ゾンビのおかげで手に入れた自由を謳歌して、今まで出来なかったことを満喫。
先にも書いたが、彼は喜び、やりたいことを100書き出そうとするがなかなか書けない。100も書き出せないのだ。だが、ガッカリしない。まずひとつずつやっていく。楽しそうに。いつだってポジティブ志向。自殺しようと思い詰めていたのが嘘みたい。こんなことになっているのに悲壮感はない。そして僕は、こんな展開で話を作るなんてあり得ないわぁ、と思う。
目的地の茨城県の水族館に行く。理由はスーパーヒーローになるためのスーツを手に入れるため、とか。その途中温泉でのんびりして、とか。親友とカッコいい女の人と3人組になって、ゾンビと戦う(わけでもないけど)。
ゾンビのように死んだように生きるのは嫌。でも今までの自分は社畜に成り下がってゾンビ化していた。ゾンビになるくらいなら、死んだほうがまし。というか、みんなゾンビになっている。でも自分はゾンビから自由になる。
想像もつかない設定で、どこまでも前向きに生きていく。水族館に行ってから再びゾンビ生活に戻ってしまうけど、見事復活、とか。安易な展開すら新鮮すぎる。さらにはサメが襲ってきてのドタバタに。なんちゅう映画ですか? ゾンビ化したサメは足があり、水槽から飛び出してくるし、やりたい放題のもうしっちゃかめっちゃか。
こんなバカな映画をそれなりの大予算で本気で作りあげたNetflixは凄い。