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映画・演劇のレビュー

劇場版『仮面ライダー・カブト』に驚く

2006-09-10 23:36:47 | 映画
 テレビシリーズを今朝初めて1本丸々見た。今まで何度か朝の準備をしながら断片的に見た事はあったけれども、ワンエピソードを通して見て(これってもしかしたら面白いのかもしれない)と思い、そこですぐに映画版を見に行ってきた。テレビと同じ物語をベースに全く別の話をパラレルワールドとして見せているようだ。

 突っ込みどころ満載のすさまじくいい加減な話だが、それでも設定の面白さとあまりのスピード感に乗せられてラストまで一気に見せられた。

 エイリアン(ワーム)による地球侵略ものというスタイルを取りつつも、それを迎え撃つ地球防衛軍(ZECTという名である)と彼らに対するレジスタンス活動をするグループの対決の方をお話のメインにするという今までにない展開が面白い。だから、地球人同士の戦いが中心となるのである。エイリアンたちは物語の蚊帳の外に置かれたままである。ふたつのグループの間に主人公のカブトが入り込んでどちらにもつくようなふりをしながら両方を欺こうとするという展開は、まるで黒澤明の『用心棒』そのままである。

 地上から宇宙まで続く塔を作ったり、そこをオートバイで駆け上がって見せたり、兄と妹の兄妹愛のお話もあって盛りだくさんだ。主人公の一人が(ちょっと仕事に行くから。すぐ帰るよ)と言って、日帰りで宇宙と地球を行き来してくるなんて笑える。

 すさまじい勢いでメインキャストの仮面ライダーたちが死んでいくのも凄い。子ども向けの映画なのに大人にも子どもにも向かない映画になっていて、じゃあ誰のための映画なのかと突っ込みを入れたくなるくらいの怪作である。

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