
この不思議なタイトルにまず興味を抱いた。昨年カンヌ映画祭で注目されて(2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で最高賞のパルムドールを受賞)アカデミー賞にも4部門でノミネートされている作品。フランスのジュスティーヌ・トリエ監督の作品だ。
雪山の山荘での転落事故死。自殺か、殺人か。妻が容疑者になる。地味な映画だけど2時間半に及ぶ長尺である。最近やけに長い映画が多い。もちろん面白かったら長かろうが短かろうが構わないけど、見る前にはかなりの覚悟がいる。特に3時間とか言われたらやはりかなり構えてしまう。これはミステリーだが、展開が単調で裁判のシーンは長いし、会話劇というハンディを抱える。だけどそれにも関わらず、この2時間半は長さを感じさせなかったのは立派。
映画の狙いは謎解き犯人探しではなく、だからといって人間ドラマというわけでもない。しかも後味もよくない。さらには11歳の息子にあれだけのことをさせるのか、と驚く。あまり見たくなるような要素がない地味な映画だけど、確かによくは出来ている。だけど、パルムドールやアカデミー賞っていうような映画ではない。