
この人を食ったような小説は、車がしゃべる。もちろんその声は人間に聞こえるわけではない。車は車同士しゃべるのだ。彼らのおしゃべりが描かれていく。そんな小説。でも、残念だがそれだけで400ページほどの話を作るのは難しい。車の中で人間たちがしゃべったことを聞いて、そこから話を展開していくから、無理が生じる。ストーリーを綴るだけでも困難なのに、彼らの目線からしか見えないので、そこで完結するように無理から話を捻じ曲げる。もちろん自然に話が通るような工夫はなされてあるのだが、それでもなんだか不自由なのだ。
お話自身も無理がある。一応主人公は緑のデミオだが、彼の持ち主である望月兄弟(良夫と小学生の亨)が本当の主人公になる。彼らが事故で死んだ女優を死ぬ前日にたまたま車に乗せたことから話は始まる。いつもの伊坂小説と同じように、いろんな出来事が同時展開し、それがどこかで重なったり、離れたりしながら、最終的にはすべて符合する大団円を迎える。
そこはいつも通りなのだが、話がうまくまとまりすぎる。要するに嘘くさい。よく出来たお話を作るのが、伊坂幸太郎なのだから、それはそれでいいのだが、今回のアイディアである「おしゃべりな車たち」という仕掛けは、思いついた時は、すごい、と思っただろうけど、これが難物。その企画で、最後まで押し通すには困難を極めた。話はつじつま合わせのレベルでとどまった。
残念ながらこれでは僕にはあまり面白くはない。今回は企画倒れの一作。ほのぼのとしたタッチは悪くはないけど、でも、話自体は結構殺伐としたものもあるし、無理。
お話自身も無理がある。一応主人公は緑のデミオだが、彼の持ち主である望月兄弟(良夫と小学生の亨)が本当の主人公になる。彼らが事故で死んだ女優を死ぬ前日にたまたま車に乗せたことから話は始まる。いつもの伊坂小説と同じように、いろんな出来事が同時展開し、それがどこかで重なったり、離れたりしながら、最終的にはすべて符合する大団円を迎える。
そこはいつも通りなのだが、話がうまくまとまりすぎる。要するに嘘くさい。よく出来たお話を作るのが、伊坂幸太郎なのだから、それはそれでいいのだが、今回のアイディアである「おしゃべりな車たち」という仕掛けは、思いついた時は、すごい、と思っただろうけど、これが難物。その企画で、最後まで押し通すには困難を極めた。話はつじつま合わせのレベルでとどまった。
残念ながらこれでは僕にはあまり面白くはない。今回は企画倒れの一作。ほのぼのとしたタッチは悪くはないけど、でも、話自体は結構殺伐としたものもあるし、無理。