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映画・演劇のレビュー

超人予備校『うしばい どなどな』

2010-07-18 22:27:00 | 演劇
 上手いと思った。超人予備校がようやく予備校ではなく、「超人学校」へと成長したことが実感できる秀作である。昨年のアメリカ公演を経て、彼らは一回り大きくなったのだろう。自分たちの演技に対する自信のようなものを身につけたのは大きい。今までは恥ずかしそうにしていた芝居が、いつのまにか、下手は下手なりに、堂々と演じれるようになった。生涯ヘタウマの上別府さんを中心とするどう考えても器用には見えない役者たち(失礼!)が、実に生き生きとした芝居を見せる。ミツルギさんの提示するコントをきちんと体現できているのだ。これは驚くべき事だ。

 その結果、エピソードごとのキレがよくなり、さらには全体のテンポもよくなる。台本の構成も、ストーリーラインを明確にすることで、見やすくなり、その上、短いエピソード(ショートコント集のスタイルを踏む)の連鎖が、とても心地よく伝わってくることとなった。ミツルギさんが望んでいたことがようやく達成できるレベルになったのだ。

 80分強という上演時間もいい。彼らの作品の理想のランニングタイムであろう。ゆったりとしたテンポで、スピード感のある展開を、一気呵成に見せきる。物足りないのではなく、しっかり見たよな、という満腹感を与えるのだ。定番の展開とよくあるオチまで含めて、ものすごく考えられてある。

 牛を巡る様々な話が、「どなどな」の寂しい歌声に乗って描かれていく。自殺サークルの話と、殺されていく雄牛とその母を巡る話を核に据えて、コントなのに暗いトーンで貫かれ、でも、なんだか安心して見れるというなんとも不思議な作品に仕上がった。



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1 コメント

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ありがとうございます (まじん)
2010-07-24 01:27:35
ありがとうございます。
おかげで学校になれました。
演劇界の戸塚ヨットスクール目指して頑張ります。
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