『インセプション』が引き合いに出される。昏睡状態にある患者の意識と交感する話である。彼の心の中に入り込み、彼のリアルに揉まれるうちに、どこが現実で、何が心の風景なのかすら、わからなくなる。
主人公は少女漫画家で、彼女の日常を丹念に描くことからスタートして、彼女が抱える問題へと話が進む。自殺したまま、眠り続ける弟とSCインターフェースというシステムを通して意志の疎通を図る。ここからが本題なのだが、実はそれ以前の日常描写の部分もすべてつながっている。最初は現実とSCインターフェースの部分は厳然と区別がつくのだが、だんだんその境目が分からなくなっていく。
そのリアルなバーチャル世界が現実を浸食してくるからだ。どちらが夢でとこからが現実なのか、それすらわからなくなっていく。そして、衝撃のラストが待ち受けるのだが、まぁ、ラストに関しては想定の範囲内。ここからもっと話が広がってもよかったのではないか。ようやくお話の全貌が見えてきたところであっけなく終わるのはなんだか肩すかしを食らった気分だ。ここから怒濤の展開になるのが、最初に書いた『インセプション』なのだが、映画と小説の違いというよりも作者のスタンスの違いだろう。この作品は、あの映画とは違い幾分おとなしい。だが、死んでしまった弟への想いとか、自分の自殺のこととか、答えです、と提示されてそれで終わりではなんだか納得がいかない。
話の核心に入った時、その先を描かないことで、この小説が何を手にするのだろうか。これは単純な謎解きではないはずなのだ。ならば、彼女が自分と向き合うところからどこにたどり着くのか。やはり、もう少し先を見せてもらいたかった。
主人公は少女漫画家で、彼女の日常を丹念に描くことからスタートして、彼女が抱える問題へと話が進む。自殺したまま、眠り続ける弟とSCインターフェースというシステムを通して意志の疎通を図る。ここからが本題なのだが、実はそれ以前の日常描写の部分もすべてつながっている。最初は現実とSCインターフェースの部分は厳然と区別がつくのだが、だんだんその境目が分からなくなっていく。
そのリアルなバーチャル世界が現実を浸食してくるからだ。どちらが夢でとこからが現実なのか、それすらわからなくなっていく。そして、衝撃のラストが待ち受けるのだが、まぁ、ラストに関しては想定の範囲内。ここからもっと話が広がってもよかったのではないか。ようやくお話の全貌が見えてきたところであっけなく終わるのはなんだか肩すかしを食らった気分だ。ここから怒濤の展開になるのが、最初に書いた『インセプション』なのだが、映画と小説の違いというよりも作者のスタンスの違いだろう。この作品は、あの映画とは違い幾分おとなしい。だが、死んでしまった弟への想いとか、自分の自殺のこととか、答えです、と提示されてそれで終わりではなんだか納得がいかない。
話の核心に入った時、その先を描かないことで、この小説が何を手にするのだろうか。これは単純な謎解きではないはずなのだ。ならば、彼女が自分と向き合うところからどこにたどり着くのか。やはり、もう少し先を見せてもらいたかった。