
このドキュメンタリー映画は、2万年の動物たちの歴史を描くスケールの大きな作品だ。大自然の脅威や、動物たちの営み、そんなのを描くネイーチャー・ドキュメントは後を絶たない。どれだけ作れば気が済むのか、とあきれるほど、同じような映画が公開される。
たが大スクリーンでそんな映像を見るのは嫌いではない。それはそれで楽しいくらいだ。疲れている時、ぼんやりと見ながら、すごい、すごい、と感心する。それだけで、豊かな気分にもなれる。暇なときに、そんなふうにして時間を過ごすのも、悪くはないはずだ。だから、時々、見てしまう。なんの期待もしていない。環境映画のように、何も考えず、スクリーンに向かう。
だから、こういうのは、うるさくないのがいい。今回のナレーションは鶴瓶(木村文乃も)で、少し鼻につくけど、まぁ、仕方ない。
台本を作って二万年の地球がたどった、生き物と自然の歴史を描く。まぁ、ちょっとしたやらせなんだが、動物に演技をさせるわけではないから、このくらいの作為は許せる範囲だ。単調なドキュメンタリーだから、それくらいのドラマは必要だ。動物たちの姿をさりげなく追いながら、1万年の歳月をそこに描く。(最初の1万年は氷河期で、そこは一瞬で描かれる。別段変ったことはないし、ね)『オーシャンズ』のスタッフ(監督はジャック・ペランとジャック・クルーゾ)が今回は大地での営みを描く。
その切り口がどういうものか、は気になった。こういう映画は組み立て方が難しい。説教になると興ざめする。だからといってただの風景の切り取りでは飽きる。単調では困るし、ドラマチックはうそくさい。バランスのとり方が難しいのだ。その点でも、この映画は実にさりげなく、押しつけがましさがない。97分のちょっとした心の休養にはなった。