『ステイ・コネクテッド』

ネットによってつながる世界。一日中スマホから手を（目を）離せないで、スマホだけで生きているような人たち。まぁ、今の時代はそんな人ばかりなのだろうけど、この映画は決してそんな人たちを非難するわけではない。そこにある真実を描こうとする。現実を受け入れたうえで、何が必要なのかを考える。

アメフトの選手で、学園のヒーロー、エリートだった男の子が、クラブを辞めたいと、言う。スポーツなんか意味がないと。そんなことに夢中になるのではなく、もっと違う生き方を望む。それがスマホでのゲームだった、なんて、ありえないだろうか。ゲームに嵌ってずっとスマホを手放せない。１日、何十時間もやっていても飽きない。なんだ、それ、と思う人がほとんどだろう。でも、スポーツになら夢中になっていいのに、ゲームはダメ、って実はおかしい。どちらも、現実ではない。たかがスポーツ。たかがゲーム。でも、ふつう、そうは思わない。

子供を終始監視している親。彼女の生活、友達との交流、そのすべてをチェックし、彼女が望まない方向へと行かさないようにする。メールや、フェイスブック、ツィッター書き込み、すべてである。出会い系サイトで知り合った男や女と付き合う大人たちもいる。いろんなケースを縦横に描きながら、ネットに支配された現代というものをそこに描く。今ある世界の縮図として。

果たしてこんな図式的な描き方でいいのか、とも思うけど、これもまた現実か。こういう群像劇を得意としたアルトマンのいくつもの映画やポ－ル・トーマス・アンダーソンの傑作『マグノリア』なんかと較べると、浅いな、とは思うけど、切実な今の実情を丁寧に描いてあるのには好感が持てる。監督はシェイソン・ライトマン。『ジュノ』や『マイレージ・マイライフ』を作った人だ。