久しぶりに劇団ひまわりの芝居を見る。もちろん脚色、演出は大塚雅史。(台本はプロデューサーの砂岡誠)大塚先生の指導のもと、さまざまな世代の子どもたちが舞台上を元気いっぱい駆け抜けていく。ミュージカルとタイトルには冠される。だから全編歌と踊りが満載。まだ幼児から高校生(サポートの大人含む)まで総勢71名(ダブルキャストだからこのArt班は56名)に及ぶキャストが舞台上に立つ。壮観である。これだけのキャストを束ねて1本の作品を作るのはとんでもないことだろう、と思う。(もちろんいつもの事だけど)
AIとこの世界はいかに共存していくべきか、が描かれる。高校生の女の子が主人公になる。貧富の差が拡大する世界。この先AIが人間に変わってさまざまな仕事をこなしていく中で人はどう生きるのか。さらには芸術でも同じようにAIが支配するならどうなるか。そんな不安を抱える彼らが自分たちの夢を信じて生きる姿が描かれる。だけどそこには難しいテーマはない。とてもシンプルなお話である。しかも単純に明るい未来が描かれる。
幼なじみのふたりが別れ別れになり、長い歳月がたった。そんなふたりが手紙を通して再会するまでの日々を高校時代の文化祭におけるAIとの共存は可能か、というパネルディスカッションを中心にして描く。2024年の今が舞台になる。そしてエピローグでは5年後の再会が描かれる。
これは描きようによってはかなりハードで悲惨な話にもなる。だけどそうはしない。芝居はノーテンキなまでに、舞台に立つ子どもたち同様で明るい。AIがどうとかいう問題は置き去りにして、演じることが未来のためになると信じる子どもたちの元気な姿を描く。
彼女たちはお芝居が好きでここにいる。それだけでいい。劇団ひまわりに所属してお芝居を楽しむ子どもたちの姿を通して、美術や音楽家を目指す(アートのある世界に生きていく)ふたりの女の子たちの姿に未来を託す。こんな芝居があったっていい、と思う。