『駅伝 ekiden』の浜本正機の待ちに待った第二作である。こんなにも長くなるとは思いもしなかった。もっと軽く次々に新作を発表してくてそうな感じだったのに。あれからいったい何年たったのだろうか。
彼の誠実で妥協のない仕事ぶりには好感が持てる。人情ものの時代劇なんていう今時ありえないような題材を与えられ、それにもかかわらず、しっかりそんな世界に命を吹き込んでいる。200年前の江戸の風景はとてもリアルとはいえない。合成も今一歩だし、マット・ペインティングは故意にしているのかもしれないが平板で、書割り然としている。『写楽』の篠田正浩が製作、脚本に手を入れてるのに、こんな映像でOKを出すということは、これはこれである種のリアリティを獲得できているからなのだろうか。僕にはお粗末なものにしか見えなかったが。
まぁ、そんなことは置いといて、ありきたりな人情劇を丁寧に見せ、そんな中から家族のあり方をしっかり描きこんだ浜本監督の演出力は高く評価できる。この人はほんんとに真面目な人だ。
前半、若い2人が出会い、豆腐屋を始める初々しい描写と、後半、中年になり、子供たちが独り立ちしていくようになった時の苦悩の日々が対照的に描かれる。自分のことならなんとかなるが、子供のことは自分たちにはどうしようもない。長男の不祥事を中心に家族が壊れていく姿を描く後半こそが、この映画の見せたかったものだろう。
単純につらくかなしいことを乗り越えていく姿を描くことで、感動を与えようなんていう映画ではない。主人公をあんなにあっけなく死なせてしまうところにこの映画のポイントがある。人の命なんて、こんなにも儚い。そして人は、その事実を受け入れて生きていかなくてはならないのだ。だからこそ妥協のない毎日を送り、自分の人生を全うすべきなのだ。主人公は頑固に豆腐の値上げを拒否したことで、全ての不幸を招き自分の死にすらつながっていく。
でも、あそこで妥協していたなら、彼の人生すべてが無になってしまうと思ったのだ。それは、映画の前半、全く売れない京風の豆腐にこだわり、頑なにその味を守り通したことともつながってくる。そんな主人公とこの映画の監督である浜本正機の姿が見事に重なり合う。この映画もまた職人の仕事である。
彼の誠実で妥協のない仕事ぶりには好感が持てる。人情ものの時代劇なんていう今時ありえないような題材を与えられ、それにもかかわらず、しっかりそんな世界に命を吹き込んでいる。200年前の江戸の風景はとてもリアルとはいえない。合成も今一歩だし、マット・ペインティングは故意にしているのかもしれないが平板で、書割り然としている。『写楽』の篠田正浩が製作、脚本に手を入れてるのに、こんな映像でOKを出すということは、これはこれである種のリアリティを獲得できているからなのだろうか。僕にはお粗末なものにしか見えなかったが。
まぁ、そんなことは置いといて、ありきたりな人情劇を丁寧に見せ、そんな中から家族のあり方をしっかり描きこんだ浜本監督の演出力は高く評価できる。この人はほんんとに真面目な人だ。
前半、若い2人が出会い、豆腐屋を始める初々しい描写と、後半、中年になり、子供たちが独り立ちしていくようになった時の苦悩の日々が対照的に描かれる。自分のことならなんとかなるが、子供のことは自分たちにはどうしようもない。長男の不祥事を中心に家族が壊れていく姿を描く後半こそが、この映画の見せたかったものだろう。
単純につらくかなしいことを乗り越えていく姿を描くことで、感動を与えようなんていう映画ではない。主人公をあんなにあっけなく死なせてしまうところにこの映画のポイントがある。人の命なんて、こんなにも儚い。そして人は、その事実を受け入れて生きていかなくてはならないのだ。だからこそ妥協のない毎日を送り、自分の人生を全うすべきなのだ。主人公は頑固に豆腐の値上げを拒否したことで、全ての不幸を招き自分の死にすらつながっていく。
でも、あそこで妥協していたなら、彼の人生すべてが無になってしまうと思ったのだ。それは、映画の前半、全く売れない京風の豆腐にこだわり、頑なにその味を守り通したことともつながってくる。そんな主人公とこの映画の監督である浜本正機の姿が見事に重なり合う。この映画もまた職人の仕事である。