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映画・演劇のレビュー

あさのあつこ『バッテリー』3・4

2007-05-26 06:48:03 | その他
 3~4巻は映画がかなりはしょった部分だが、小説ではこういう描写にしっかり時間をかけることが可能だ。野球部が活動停止になったり、豪と巧がうまくいかなくなり、お互い話もしなくなるという読んでいてイライラするような話が続く。

 展西たち上級生のいじめ、暴力行為による活動停止から横手2中との自分たちだけの練習試合まで。話のテンポが悪い。このへんはじっくり描く必要を感じない。戸村先生と管理職との軋轢は面白いが、読者である子供たちにはピンとこないだろう。

 ただ、こういうところをじっくり見せなくては大河ドラマとしては説得力を持たないのかもしれない。それにしても、この小説には胸のすくような場面が少ない。いつもゴタゴタ揉め事ばかりが続いていく。僕らの日々の生活なんてそんなものなんだろうが。

 13歳だって立派に悩んでいるし、考えている。そんな当たり前のことが、リアルに描かれてある。みんなで楽しむために野球をすること。「点数もチームも勝敗もない単純な遊び」としての野球を、巧は生まれて初めて体験する。マウンド以外の守備につくなんてことも初めてだ。もちろんその状況を楽しむ余裕なんて彼にはない。だけど、あの場所に居たことで、彼の中の何かが、ほんの少しだけ動いたはずだ。そんな瞬間をこの小説は捉える。みんなと三角ベースで遊んだこと。4巻はこのシーンで幕を閉じる。

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