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映画・演劇のレビュー

『恋に至る病』

2013-07-20 06:46:06 | 映画
 現代版『転校生』ではないか。でも、ちょっと生々しいか。高校生と先生という、少し大人の話であるだけではなく、セックスが描かれるのもその理由だが。主人公のキャラクターが、異常で、あんなへんな女普通じゃない。彼女があこがれるシャイな先生も、あれはシャイなんていう可愛いものではない。ただの変人だ。うまく人と接することができない。対人恐怖症気味な男で、あれじゃぁ先生なんて仕事はできない。でも、彼女はそんな彼が好き。ノートには彼のことが懇切丁寧に書かれてある。性格、しぐさ、特徴。行動様式。すべて分析して整理されてある。

 積極的な彼女は学校で彼に迫り、強引にセックスしてしまう。あれじゃぁレイプじゃないか! しかも、女のほうから!! すると、二人の性器が入れ替わってしまう。そんなアホな!!!

 あまりにむちゃくちゃな話でついていけない人がたくさんあるのではないか。コメディーにしても、なんか生々しすぎて、きつい。でも、これは表面的にはさわやかな青春映画スタイル。その辺の齟齬がしっくりいかない原因。なんか、全体のバランスが悪い。映画の後半、ふたりは逃避行して、先生が昔住んでいた田舎の家で、ひと夏を過ごすことになる。ここからが映画のメインなのだが、そこから少しつまらなくなるのは話がそれ以上広がらないからだ。

 しかも、もっとファンタジーっぽい描き方でもすればいいのだが、リアルなラインで話を展開していくから、きつい。でも、こんな設定をよく考えたものだ。この2人を追って同級生の男女もここにやってきて4人によるお話になる。同級生は染谷将太と佐津川愛美なので、さすがに上手く主役の2人をフォーローする。彼らの関係性がもっとうまく図式化されていたなら、いいのに、そうもいかない。

 何がやりたいのか、わかりづらくなる。主人公の一直線な思い込みが暴走していく様は見ていて快感なのだが、それを受け止めることができない男の側のもどかしさに説得力がないから、我妻三輪子の熱演が空回りする。でも、それは相手役の斎藤陽一郎が悪いのではない。台本、演出の問題だ。男の側が描ききれないのは、女性監督(木村承子)だからなのか。(でも、それって、なんだかなぁ。)


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