今回のレトルト内閣はとっても軽い。この軽やかさは彼らの持ち味で、ヒロインの福田恵の「わたし、調べます!」という一言で話が弾んでいくのがとても心地よい。お嬢さん探偵のささやかな大冒険というパッケージングだ。
だけど、いつのまにか、彼女は、周囲に対して疑心暗鬼に陥ることになる。なんだか自分だけがみんなから騙されているのでないか、と。そんなふうにして軽いタッチからいささか重苦しいタッチへの微妙な変化を通して、ドラマは起伏に富んだ展開を見せていく。人の秘密を探るという行為の是非も含めて、探しているはずが探られているという逆転。
おてんばお嬢さんが結婚をして、でも、夫が病気になり家族を養うため働いて、というようなある種パターンともいえるお話なのだけど、それがテンポよく展開していき、とても気持ちよく見ていられる。たいした事件はないのだけど、あれやこれやで大活躍する彼女の姿を軽快なタッチで追いかけていく。そして、ノーテンキなお話に見せかけて、実は彼女の抱える不安感を、でも、それだってそれまでの軽やかなタッチを崩すことなく、変えることもなく描いていく。そんなバランス感覚が素晴らしい。おしゃれでかわいくて、楽しい。でも、一筋縄ではいかない深みのある芝居に仕上がった。