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映画・演劇のレビュー

RandomEncount 『Garden』

2013-09-10 22:24:45 | 演劇
 扱うテーマは面白いし、興味深いのだが、描き方があまりに単純すぎて、底が浅い。ミステリ仕立てで、どこに話が向かうのか、わかりにくいのも悪くはない。ちゃんと話に引き込まれるから。だが、いかんせん緊張感がなさすぎ。演出が単調だし、(それはフラットな照明、音響の指示も含めて)この種の芝居に必要な「はったり」がまるでない。この手の芝居には、不安を煽りつつ、いろんなところにミスリードしていきつつも、やがて核心に迫るような、演出の力が必要だ。まじめな周防さんにはそういう遊びがない。

 大体、最初のふたりの出会いのシーンの緊張感のなさは、どうしようもない。摑みの部分である。そこで、観客を惹きつけないことには話にならない。なのに、あまりに単調。この郊外の精神病院で収容される人たちが、どういう人たちなのか。医者と牧師。彼らが患者たちと交わす言葉。それがどこに行きつくのか。まぁ、話は主人公たち2人の絞られるのだが、それも、あまり突き詰められていないから、単純。

 心身症という判断がなされて、殺人者が、罪に問われなくなる。現実から逃れるため、記憶を失う。そんな判決に対しての遺族の想い。犯人が罪を逃れるための行為ならどうなるのか、とか。何が本当で、何が嘘なのか。美しいバラ園で、出逢ったふたりのドラマは、ミステリーだけではなくラブストーリーも含めて、どんなふうにも展開できるはずだ。だが、作、演出の周防夏目さんは、話を収束させるだけで、広げようとはしない。まるでドキドキしない。ウェルメイドには出来ているし破綻もない。よく出来たお話をきちんと見せる。でも、それだけではダメだ。


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