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映画・演劇のレビュー

『マン・オブ・スティール』

2013-09-10 22:26:23 | 映画
 この夏のビッグ・ムービー、その最後を飾る『スーパーマン』の新作の登場だ。こんなにも続々と大作映画が並ぶ夏も珍しい。しかも、製作費が100億とか200億とか、もう想像もつかないビッグ・バジェットが並ぶ。そんな中にあっては、日本映画の『ガッチャマン』なんて吹き飛んでしまって当然だろう。公開する時期が悪すぎたのだ。同じようなライバルが並ぶこの時期に登場してハリウッド大作に勝つためには、もっといろんな仕掛けが必要だった。予算で勝てない以上アイディア勝負となるはず。なのに、それが「痴話げんか」では、相手にされなくても当然だろう。

 ガッチャマンの話はここでは関係ない。スーパーマンに戻ろう。あれとこれでは、当然のことだが、映画としてのスケールが違う。さらには、アイディアもこっちのほうがずっと豊富だ。よく考えて作られている。従来のスーパーマンとはまるで違うアプローチがなされてある。ただ、それが正解だったのか否かは、結構微妙なところだろう。『ダークナイト』の成功以降、ダークヒーローものが花盛りだ。なんと、それがスーパーマンにまで及ぶ。こんなに悩むスーパーマンでいいのかと心配になるほどだ。これでは、ほとんど碇シンジである。

 暗くて、いじけていて、悩んでばかりで、爽快感は皆無の映画を目指す。それが時代の趨勢だと言われたなら、そうなのかなぁ、と言うしかないけど、なんかどれもこれも同じではつまらない。

 それにしても、ここまで破壊に次ぐ破壊のオンパレード。いくら特撮が凄くても、殺伐とした気分になる。映画は『未知との遭遇』の続編ではないか、と思うようなストーリー。いやこれは『インデペンデンス・デイ』か。宇宙人襲来。戦うのは、人間たち。間に入るのはスーパーマン。彼は敵なのか、味方なのか? なんていう話の展開。お話自体は「スーパーマン・ビギンズ」なのだが、壮大なスケールでそれが描かれるので、スーパーマンであることを忘れてしまいそうになる。新たなるスーパーマン伝説の始まりなのだろうが、正直言うと少し食傷気味。本国では大ヒットしたのだろうか? ヒーローもの全盛時代に文句を言うつもりはないけど、物凄い予算で考えられる限りのアイディアをぶち込んで、丁寧に作られた映画なのに、見終えてがっかりした。

 おもしろいことは、認める。だが、そこまでしてどうなるのか、と思う。こんなことをするのなら、もっとほかのことに労力をつぎ込んではどうか。同じような映画を繰り返し繰り返し作って、飽きないのか。見ているほうはもう飽きた。なのに、ついつい何かを期待して劇場に通ってしまう。なんだかなぁと、見ていて思うけど。確かに凄い映画だった。でも、見終えて、面白かったけど、なんだか疲れたのも事実なのだ。




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