習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

劇団KY『「カカオの木なんて燃えてしまえ!~一週間待ったんすけどねぇ~」』

2009-02-25 20:17:38 | 演劇
 これは無邪気な大学生たちによる学芸会である。2時間、てんこもりにされたバラエティショー。漫才あり、ダンスあり、コントにお絵書きまである。そして、もちろんお芝居も2本立てである。でも、あれは芝居とは言えない。思いつきで作ったショートコントに毛が生えた程度のものだ。

 最初はわざとこういう稚拙なタッチで見せようとしたのかと思った。小学生たちのダンスチームが出てきて踊りだした時には、その唐突さと企画のバカバカしさに圧倒された。子供たち自身は実に一生懸命で、とてもかっこいい。だが、なんだかこの場と合わない。そのギャップで笑わそうとするのか、とも思った。

 彼らはわざとバカに見えるようなショーを仕立て上げようとしている。そこから別の何かを引き出してこようとするのか、と一瞬は思った。しかし、一つ目の芝居が終わった時には、そんな勘ぐりは無用と知った。彼らは何も考えてない。ただひたすら天真爛漫なだけだったのだ。では、なぜこんなことを20歳を超えた大人がやろうとするのか、それが次の疑問として起きた。

 バカバカしいにも程がある。こんな子供だましのような学芸会を大学のサークル活動とはいえ学外で見せる意味はどこにあるのか。不思議で仕方なかった。40分と少し長めの2本目の芝居を見ながら、もしかしたら彼らは本気でこれから芝居というものを始めようとしているのかもしれない、と思った。

 人前で自分たちの姿を見せるということの喜び、そして何かを伝えれたらいいなと思う素直な気持ち。そこからすべては始まる。このショーを見ながら、芝居について何も知らない子供が見よう見まねで、自分たちにも出来る芝居を全力でやっている姿勢になんだか胸を熱くさせられた。目立ちたいだけ。人前で受けたい。そんなところから始まる芝居がやがてひとつの表現に成長していくこともある。そんなことを考えたり。これはこれでなんだか貴重な時間かも、なんて。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Ugly duckling 『ト①ランク』 | トップ | ИEUTRAL『はじまりのリ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。