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映画・演劇のレビュー

Ugly duckling 『ト①ランク』

2009-02-25 19:54:04 | 演劇
 ここからトランクの長い旅が始まる。アトリエでの5週間連続興行がスタートした。これは昨年公開された『100年トランク』のスピンオフだが、樋口さんの中では前作も含めた6つの作品はひとつにつながる長いドラマなのだろう。今回の『トランク』5部作は『100年トランク』とアプローチが違うが、同じ作品を角度を変えて見せる。だが全体で大河ドラマを構築するのではない。両者は点と線である。
 
 別々の作品ではないが、独立した作品でもある。『トランク』の旅のワンピースが、今回の個々に作品となる。大きな幹である『100年トランク』とその枝葉である小さな5つの物語。それぞれはきっと興味深いエピソードを構成するはずだ。50分というそこそこの長さもいい。中篇作品というのは芝居にするのが難しい。だが、この素材なら充分に成立する。これからの残り4週も楽しみである。

 さて今回はエピソード0とでも言うべき内容。演じるのは出口弥生、久保井研(唐組)のふたり。『トランク』旅立ちの章である。ベッドの上を舞台にして、男と女がここで交わす会話劇を見せる。夫と妻。兄と妹。様々な設定のもと、トランクを巡る話が語られる。帰ってくるもの、出て行くもの。様々な思惑。限定された空間、小さなエピソード。大きなトランク。非常用の乾パンと水を貪る姿が印象的だ。映像で見せるラストの波打ち際に置かれたベッド。去っていくトランクの男。それらはこの『トランク』という作品全体を象徴する。

 オープニングでは『100年トランク』のダイジェストが上映されるが、ストーリーにはなってないのがいい。(だいたいこの芝居のストーリーを追うのは大変だ)雰囲気だけが伝わればよい。少し長いのが気になったが。本編である2人芝居だが、こちらは大きな動きがないのもいい。いつものアグリー作品とは様子が違う。

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