
7人の女性作家たちによる恋愛小説アンソロジー。タイトルにあるように最初の恋ではなく、二周目の恋。二度目の恋でもない。いつもの作家だけではなく、初めての方もふたりいる。その初めての作家の作品がとてもいいから、またご贔屓が増える。
まず、波木銅の『フェイクファー』がいい。金子由里奈監督の『ぬいぐるみとしやべる人はやさしい』と連動してリンクするような作品。(読んでから調べたら、この作家は「彼女」ではなく「彼」だった。)淡い記憶をたどって行くことで、自分を見つけることになる。これだけでなく、いずれの作品も恋愛小説である前に自分探しになる。
もちろんこれだけではなく、他のいつもの作家たちの作品もよかった。異性とではなく、同性を好きになる話もある。女性が好きだと気づいて、それを受け入れる。同じように自分は女装が好きだと受け入れる夫。離れていた双子の兄弟を好きになること、自分が人を好きにはならない人だとわかること。そんなこんなのさまざまなパターンが描かれる。恋にはいろんなケースがあるという当たり前のことがなんだか新鮮だった。7人7様の在り方を味わいながら、僕もまた恋をしたいな、なんて一瞬思う。