『釣りバカ日誌１８』

　今では消えてなくなったメジャーのプロブラム・ピクチャーの王道を行く作品だ。昔の日本映画はこういう作品ばかりが、大手を振っていた。しかし、この手の映画はブロック・ブッキングが崩壊し、大手の映画会社が製作を断念したことで完全に消えてなくなった。

　なのに、まだ、しぶとくこのシリーズだけは作られ続けている。そんなにヒットはしないけど、老人を中心にニーズがあるから、ビデオスルーも前提に、新作が毎年公開される。『男はつらいよ』なき今、このシリーズが、日本人にとって唯一の古き良き時代の遺産なのだろう。でも、今回見ながら、あと三国連太郎は何年生きられるだろう、なんて心配をしてしまったが。

　それにしても、ノーテンキでばかばかしい映画である。こんなの見ても時間の無駄だ、という気もする。しかし、なんとなく試写に誘われて、見てしまった。毒にも薬にもならないが、２時間それなりに楽しめることは確かだ。のんきに何も考えずスクリーンを見てればいい。そんな時間も必要かもしれない。

　こんなにも老人がたくさん出ている映画は珍しい。しかも、これはコメディーである。体を張ってアクションを見せるわけでもないが、隠居して仕事なんかしなくていいようのお年寄りが、撮影に行くだけでも大変なのに、頑張っておられるのには、頭が下がる。

　主演の三国連太郎を筆頭に、谷啓、奈良岡朋子、加藤武と言ったレギュラーたちを始め、桂小金治、小沢昭一というゲストまで、平均年齢高い。

　今回は岡山を舞台に瀬戸内のリゾート開発を巡る騒動を描く。社長を引退したスーさんのボケをきっかけに、ドラマが展開する。のんびりした映画なので、途中居眠りしても大丈夫。西田敏行も年をとってきたなぁ、なんて思う。２０年である。２０作である。継続は力なり。これからも頑張ってね。