習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『椿山課長の7日間』

2007-08-31 14:26:54 | 映画
 『釣りバカ』の西田敏行が主演した昨年秋公開の映画を先日見てきた。これもかっての松竹プログラム・ピクチャーの1本だ。昔はほんとにこういう映画がたくさんあった。今ではこういう作品にも、すこし予算をかけて、大作風のパッケージングを施し、ロードショー公開がされる。この作品もそれなりにセールスしてよかったはずなのだが、作品の力量もあり、あまり無理しなかったようだ。慎ましい。

 天国への入り口のホールが安っぽく、そこの集まる人たちのエキストラがまた、安易で映画の入り口で、やる気なくした。和久井江見の天使、というキャスティングにも呆れたが、まぁ、そこはプログラム・ピクテャーということで多目に見る。

 3人の男が甦り、1週間だけ、この世に戻ってくる。彼らは姿を変え、地上に帰る。西田敏行が、伊東美咲になって現世にやって来るなんて、いうバババカしさが、この映画のポイントである。50代のオヤジが、若くて綺麗な女の姿になり、地上で過ごす。その日々の中で、彼(彼女)は自分が知らなかった彼の周囲の人々の気持ちに触れることになる。残酷な事実も含めて、知ることで彼は自分は50年以上生きてきたのに、何も本当のことは知らなかったことに気付く。このへんのストーリー展開がベタだが、なかなかいい。3人の因果関係も出来すぎだが映画なんで許そう。

 浅田次郎らしいハート・ウォーミングを、『小ぎつねヘレン』の河野圭太監督が、コミカルで、優しい映画に仕立てた。あまりに、安直で、よく出来すぎた話だが、見てて腹は立たないくらいに仕上がっている。でも、これでは西田敏行は主演ではない。伊東美咲が主演なんだけど、セールス上はこういう宣伝が必要なんだろうなぁ。伊東美咲の顔が西田敏行に変化するシーンには笑いが起きるのは仕方ない。ほんとは笑うシーンでないのだけど。

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