ストーリーらしいストーリーが全くない。たった60分程の映画なのにそれでいいのか、と心配になるくらいだ。秋原正俊監督は確信犯である。敢えてこのスタイルを選び取っている。ワンシーンも長い。不必要なくらいに。山下敦弘も長いが、この人も大概である。カット尻が長く、いらない部分まで見せる。しかも、そこで話も映像も動かない。
この映画はこんな話だ。主人公の女の子(堀北真希)は、高校2年生。クラスメートの男の子のことが好きかもしれない、と思う。それだけのことが描かれる。それを親友と過ごす時間、何もない毎日の中で描く。
高2の冬から、高3の春までの短い時間。彼の事が好きなんだ、と意識したところで時間は途切れてしまう。正確に言うと、自分から彼に告白するが、「他に好きな子がいるから」と拒否されてしまう。そこで、映画は終わる。
その後、大人になった彼女(佐藤藍子)の日々が描かれる。毎日の日々の中で感じること。同じように過ぎていく時間。仕事に熱中している。毎日は充実してる。でも、それだけの毎日。
仕事で照明デザイナーと打ち合わせする。気付かない。彼があの頃好きだった男の子であるということに。10年くらいの歳月の中で、かっての想いも忘れてしまったのか。相手の男の子は気付いていたのに。たったこれだけの事が描かれる。この後彼女がどうなるのか、は描かれない。メールの名前で気付き、慌てて引き返すシーンで映画は終わる。
未完となった鷺沢萌の遺作を映画化したらしい。17歳のヒロインを堀北真希が演じ、大人になった彼女を佐藤藍子が演じている。この微妙なキャスティングが面白い。同一人物に演じさせてもいいはずなのだが、そこに敢えてはっきり差を付ける。この二人の間の差がこの映画のリアリティなのかも知れない。宮崎あおいが主演した『好きだ。』となんとなく感じが似ている。
毎日同じ風景の中で生きていた高校生の頃。教室、廊下、屋上、そして、通いなれた河川敷の道。1990年代、誰も知らない2流高校での何の特徴もない毎日。そんなところでかって生きていたという記憶。この映画はその何の変哲もない時間を静かに切り取ってみせる。この監督がどういう気持ちでこの映画を作ったのかが、いまいちよくは分からない。でも、なんだか気になる。
彼はこの作品と前後して、『富岳百景』『銀河鉄道の夜』『河童』『五重塔』を撮っている。なんだこのラインナップは!まるで日本近代文学全集ではないか。しかも2、3年にこれだけの作品を連打しているのだ。しかも低予算の劇場公開すら満足にしてない映画としてである。いったいこれはどういうことか、も気になる。情報がないだけに面白い。
この映画はこんな話だ。主人公の女の子(堀北真希)は、高校2年生。クラスメートの男の子のことが好きかもしれない、と思う。それだけのことが描かれる。それを親友と過ごす時間、何もない毎日の中で描く。
高2の冬から、高3の春までの短い時間。彼の事が好きなんだ、と意識したところで時間は途切れてしまう。正確に言うと、自分から彼に告白するが、「他に好きな子がいるから」と拒否されてしまう。そこで、映画は終わる。
その後、大人になった彼女(佐藤藍子)の日々が描かれる。毎日の日々の中で感じること。同じように過ぎていく時間。仕事に熱中している。毎日は充実してる。でも、それだけの毎日。
仕事で照明デザイナーと打ち合わせする。気付かない。彼があの頃好きだった男の子であるということに。10年くらいの歳月の中で、かっての想いも忘れてしまったのか。相手の男の子は気付いていたのに。たったこれだけの事が描かれる。この後彼女がどうなるのか、は描かれない。メールの名前で気付き、慌てて引き返すシーンで映画は終わる。
未完となった鷺沢萌の遺作を映画化したらしい。17歳のヒロインを堀北真希が演じ、大人になった彼女を佐藤藍子が演じている。この微妙なキャスティングが面白い。同一人物に演じさせてもいいはずなのだが、そこに敢えてはっきり差を付ける。この二人の間の差がこの映画のリアリティなのかも知れない。宮崎あおいが主演した『好きだ。』となんとなく感じが似ている。
毎日同じ風景の中で生きていた高校生の頃。教室、廊下、屋上、そして、通いなれた河川敷の道。1990年代、誰も知らない2流高校での何の特徴もない毎日。そんなところでかって生きていたという記憶。この映画はその何の変哲もない時間を静かに切り取ってみせる。この監督がどういう気持ちでこの映画を作ったのかが、いまいちよくは分からない。でも、なんだか気になる。
彼はこの作品と前後して、『富岳百景』『銀河鉄道の夜』『河童』『五重塔』を撮っている。なんだこのラインナップは!まるで日本近代文学全集ではないか。しかも2、3年にこれだけの作品を連打しているのだ。しかも低予算の劇場公開すら満足にしてない映画としてである。いったいこれはどういうことか、も気になる。情報がないだけに面白い。