
湯浅政明監督による『デビルマン』の完全アニメ映画化。(いや、映画ではなくNetflixだけど)25分で10話だから実質4時間弱。映画なら大作のボリュームだ。実に面白い。この作品に続く『日本沈没2020』にもつながる内容で、今の時代を先取りしている。
「悪魔」に感染した人類のお話。悪魔と人間との間に立ち、悪魔というものを人間の作ったものとする結末部分は少し弱いけど、導入から前半は実に興味深い。悪魔狩りはもうわかりきった展開だけど、コロナ渦の今、なんだか身につまされる。それがエスカレートしていくと、リアルから離れてしまうのは惜しい。
湯浅監督のあのタッチで描かれるからまだ見ることができるけど、他の人がやればこの悲惨な内容と、残酷なお話は見ていられないだろう。エログロなだけの品のないものにもなりかねない。昔(40年以上前の高校生だったころだ)原作を読んだとき、衝撃を受けた。アニメ版も面白かったけど、あの漫画は凄いと思った。
今回のアニメ化作品は、原作のエッセンスを忠実に再現しようとしている。でも、終盤の展開が安易。二人の戦いをもっとちゃんと見せて欲しい。飛鳥了と不動明とサタンとアモンというふたつの側面が重なり、それが人類の存亡につながる。それが何なのかも見せて欲しい。子供の頃に感じた衝撃が何だったのか、気になる。もう一度原作を読みたいと思った。