
期待の一作である。新撰組と妄想プロデュースが初めてタッグを組んで新生新撰組の未来を占う大一番の芝居だ。これはただのコラボではない。妄想プロデュースの池川辰哉さんは新撰組の劇団員でもある。彼が主宰する集団での仕事を新撰組に持ち込むことで、彼が新撰組をこれからどういう形でリードしていくことになるのか、そんなことも含めてこの芝居は彼ら全員にとってここ一番の踏ん張りどころとなるのだ。
新しく劇団代表となった南田吉信さんがパンフでもフライヤーでも口をすっぱくして述べるように、新撰組は今時珍しいアングラ劇団だ。時代錯誤であることは承知の上である。だが、だからこそそこに拘りたいのが彼らの真情であろう。
池川くんが新撰組に心惹かれたのもその1点に尽きる。大人である彼らを使って子供である妄想のメンバーと掛け合わすことで見えてくるもの。それが今回の大きな課題だ。彼はまず全力で走ろうとした。この芝居はあまりに単純で見ていて疲れる。2時間10分という上演時間は必ずしも長くはないが(彼らの前々作『風の左手』は3時間の大作だった!)この内容としては異常に長く感じられる。それは話が単純で繰り返しが多いからだ。だが、それはひとえに彼が望んだことである。
今回芝居の中の情報量は極端に少ない。いいたいことは単純でそれをストレートに見せようとしたからだ。フライヤーにもあるように「これは、息子からの宣戦布告である。」息子世代である池川さんが父親である新撰組に対しての愛と憎しみがこの芝居にはこめられてある。それが現代という時代に対する彼なりの想いにも通じる。
芝居はあきれるくらいにハイテンションだ。最初から最後まで怒鳴りまくるし走りまくるし、立ち止まることはない。やってるほうも大変だろうが、見ているほうも疲れる。全力疾走する芝居だから、2時間強でも疲れる。話が深まるのではなく一本調子なのは何度も書いたとおりだ。
父と母と暮らす家から彼は抜け出したい。父と顔を合わせたくない。父が嫌いだというわけではないし、父は息子への理解を深めたいと思い努力している。そんな優しい父だから彼は反対に逃れたいのだ。甘えでしかないのだが本人には切実である。彼は自分の部屋の中にもうひとつの自分の家庭を作る。そこには女がいて2人で暮らしている。タクシードライバーをしている彼は彼女に月々の給料を渡している。彼女は絵を描いている。青空をキャンパス一面に描く。閉ざされた空間から現実の空間へと彼らは突破口を求めて彷徨う。
タクシーで父親を轢いてしまった息子を中心にして、様々な人物が右往左往するのはこの手の芝居の定番である。池川さんは遠慮することなく全力でこの単純なお話を走り抜けていく。爽やかな風が吹く、そんなアングラ芝居が誕生した。
新しく劇団代表となった南田吉信さんがパンフでもフライヤーでも口をすっぱくして述べるように、新撰組は今時珍しいアングラ劇団だ。時代錯誤であることは承知の上である。だが、だからこそそこに拘りたいのが彼らの真情であろう。
池川くんが新撰組に心惹かれたのもその1点に尽きる。大人である彼らを使って子供である妄想のメンバーと掛け合わすことで見えてくるもの。それが今回の大きな課題だ。彼はまず全力で走ろうとした。この芝居はあまりに単純で見ていて疲れる。2時間10分という上演時間は必ずしも長くはないが(彼らの前々作『風の左手』は3時間の大作だった!)この内容としては異常に長く感じられる。それは話が単純で繰り返しが多いからだ。だが、それはひとえに彼が望んだことである。
今回芝居の中の情報量は極端に少ない。いいたいことは単純でそれをストレートに見せようとしたからだ。フライヤーにもあるように「これは、息子からの宣戦布告である。」息子世代である池川さんが父親である新撰組に対しての愛と憎しみがこの芝居にはこめられてある。それが現代という時代に対する彼なりの想いにも通じる。
芝居はあきれるくらいにハイテンションだ。最初から最後まで怒鳴りまくるし走りまくるし、立ち止まることはない。やってるほうも大変だろうが、見ているほうも疲れる。全力疾走する芝居だから、2時間強でも疲れる。話が深まるのではなく一本調子なのは何度も書いたとおりだ。
父と母と暮らす家から彼は抜け出したい。父と顔を合わせたくない。父が嫌いだというわけではないし、父は息子への理解を深めたいと思い努力している。そんな優しい父だから彼は反対に逃れたいのだ。甘えでしかないのだが本人には切実である。彼は自分の部屋の中にもうひとつの自分の家庭を作る。そこには女がいて2人で暮らしている。タクシードライバーをしている彼は彼女に月々の給料を渡している。彼女は絵を描いている。青空をキャンパス一面に描く。閉ざされた空間から現実の空間へと彼らは突破口を求めて彷徨う。
タクシーで父親を轢いてしまった息子を中心にして、様々な人物が右往左往するのはこの手の芝居の定番である。池川さんは遠慮することなく全力でこの単純なお話を走り抜けていく。爽やかな風が吹く、そんなアングラ芝居が誕生した。