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映画・演劇のレビュー

劇想からまわりえっちゃん『青春爆貫WILD NAME』

2009-02-09 22:09:53 | 演劇
 フライヤーを見た時、この人たちはほんとにバカだなぁ、と思った。こういうセンスってなかなか出来ない。自分を棄ててる。捨て身だ。こんなフライヤ-を作るし、劇団名はこれだし、きっと凄まじくつまらないか、すばらしいか、そのどちらかしかないだろう、と思った。見なくてはならない、と勝手に使命感に燃えて劇場へ。

 予想を上回るバカだった。呆れるしかない。よくぞこんな芝居をでっち上げたものだ。凄すぎる。やはり人間棄ててた。

 舞台上に10数人の男女が出てきてくだらないことを繰り広げる。老人の恋物語というのがストーリーの根幹にはあるにはあるのだが、そんなものどうでもいい。というか、お話なんか見て、そのすぐ後には忘れてる。それくらいにどうでもいい話なのだ。みんなが歌って踊ってはじけてる。それがとてもお粗末すぎてなんともいえない気分になる。めっちゃルーズな宴会芸ですらないようなレベル。なのになんだか見てると楽しい。演じている人たちの必死さが伝わる。こんなバカをこんなにも一生懸命してるという感動。

 老人が所属するバドミントンチームの試合が芝居のクライマックス。この老人がチームのエースなのだ。スポーツものって青春ものの定番だ。だが、なんでバドミントンなんてマイナースポーツなのか。しかも、じじいが主人公で、彼は好きな女の子がコーチと恋仲になってしまい傷心の旅に出る。そのためチームは憎たらしいライバルに負けそうになる。もちろんそこに彼が駆けつけて、敵のキャプテンと対決だ!もうほとんど加山雄三の若大将シリーズである。

 おもいつきのようないいかげんな話を勢いだけで見せる。とても元気がいい。老人と孫との断絶、なんていうサイドストーリーも用意されている。けっこうスピード感があって、どんどん話は進んでいくからあまり考えている余裕はないが、これどうなんよ、と考えたらこのいいかげんな芝居はつまずく。理屈ではないのだ。これはただノリだけである。フライヤーのアホ丸出しがさらにパワーアップしたような芝居だ。最初から最後まで全力投球だ。見ていて暑苦しく、疲れる。だがこれは心地よい疲れだ。

 85分と短めの上演時間もいい。ラストでダラダラしないのもいい。ものすごく思いっきりのいい終わりかたをする。スパーンと断ち切るように終わる。勢いだけの体力勝負のような芝居だ。若いというのは素晴らしい。

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