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映画・演劇のレビュー

『シティハンター』

2024-04-29 10:08:32 | 映画

佐藤祐市監督作品である。彼はそつなくさまざまな映画を作る職人監督だから、少し期待して見たのだが。Netflixで配信公開作品で、日本では今人気No.1。(Netflixのヒットランニングですが)

主人公の冴羽リョウを鈴木亮平が演じる。これは言わずと知れた80年代に大ヒットした漫画で、これまでも何度もアニメ化されてきたし、アニメ映画にもなり、イタリア映画にもなったけど、日本では今回が初の実写映画化である。

相変わらず鈴木亮平は素晴らしい。彼のキャリアの中でも最高の汚点と言ってもいい(同時に輝かしい実績でもある!)『変態仮面』につながる映画だ。今回もちゃんと裸になる。こういうおバカをしっかりやれるのが彼の魅力でもあるのだが。

まず、オープニングは楽しい。軽快なタッチで始まったドンパチはいささかチープだけど、この映画の方向性をしっかり示す。軽いノリで100分ほど、何も考えずに笑って見れたらいい。昔の日本映画によくあった2本立使い捨てプログラムピクチャーの1本のような映画なのである。

だけど,今の時代、残念だがこんな映画は通用しない。バカバカしくて、楽しいこと自体は悪くはない。問題はそれが途中から息切れしてしまうことだ。たった100分が息切れしてどうする? 脚本が悪すぎて、話があまりに杜撰で呆れてしまう。コスプレショーのクライマックスもまるで説得力がないし、その後の展開には唖然とする。漫画でも今時こんないいかげんな展開はしないだろう。昔ならこれで許されたけど、今はさすがにキツい。

せっかくの企画がこれではだいなしである。これはもちろんシリアスな映画ではない。誰もそんな期待はしない。だけどそれなりのリアルには裏打ちして欲しかった。いくらなんでもこれではバカバカしさに乗りきれなくなるからだ。残念ながら、ガッカリの作品だった。


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