「集いのとき」編は人々が集う公園(あうんの森公園)が舞台になり、観客席を巻き込んだイベント仕様。開演前から始まる。15分前に舞台監督の谷本誠が出てきて、駄菓子を配る。前説を始める。まだ、観客は揃ってはいないけど、彼は舞台上に置かれた楽器を手にして演奏して解説を始めた。彼は今回は舞台監督である前にキャストであり、さまざまな民族楽器研究サークル「ふえぶ」主宰である。開演5分前まで彼のオンステージ。
客席に老夫婦がやってくる。実はもう芝居は始まっている。山村(杉山寿弥)と妻(はたもとようこ)である。ふたりは舞台監督に請われて、舞台上手のベンチに座った。
開演する。墨絵作家の杉原淳平(役者ではなく、今の本業である墨絵作家)によるライブペインティングが始まる。「語りのとき」編とは違い、こちらは楽器と絵画に芝居をミックスしたライブステージだ。
杉原の墨絵制作を谷本の演奏がフォローする。それを老夫婦と我々観客が見守る1時間のイベントというスタイル。先に見たふたり芝居のスピンオフにもなっている。ライブペインティングを見るふたり(もちろん杉山とはたもと)のなにげない会話劇が挿入される。なんだか心が温まる。そんな心地よい時間。今回のあうん堂ジョイント公演は2作品セットにして楽しむことで芝居の新しい試みを提示する。