短歌である。短歌の世界を小説化したようなもの。いや、違うかぁ。短歌が全編を彩る。じゃぁ、歌物語の現代版か。しかも、主人公たちは短歌を作る人だし。2人の男が主人公。25歳の歌人。19歳の大学生。たまたま出会ったふたりが、お互いを意識しながらも、短歌の世界を邁進する話、というものちょっと違うけど。じゃぁ、なんなんだよ、と自分で自分にイライラしながら、ちゃんと説明するのが難しい。ホモの話ではないよ。でも、主人公のひとりである伊賀さんは克夫くんのことをちょっと意識しているけど。
ふたりの章が交互に出てくる。各章は3ページほど。全体が100章。チェリーボーイの克夫の話と、プレイボーイの伊賀の話。(チェリーボーイ、プレイボーイというのは僕が言うのではなく、この本に書かれてある。各章のトップにその冠があるのだ!)全編ものすごい量の短歌が挿入される。作者の枡野さん自身が歌人で彼と彼の仲間たちの作品が網羅されているのだ。主人公の伊賀さんのモデルはもちろん作者の枡野さんだろう。わざとそういうふうに意識させるように書かれる。狙いがびしばし伝わる小説で、なんだかあざといけど、そういうあざとさがこの作品の魅力でもあるから、気にしない。というか、気にならない。すこし、気にしてね、と作者は思っているだろうけど、わざとそっけなく、流す。
テンポのよさは当然の話で、一気に読ませるけど、さすがに後半は息切れしてくる。どこかで、ためを作らなくては長編小説は持たない。でも、いっちゃえ、というノリで最後まで突っ走る。決して出来はよくないけど、こういう小説は好き。うまい小説より、破綻はあるけど、ノリノリのほうがよい。主人公の克夫くんの童貞喪失はあるか、とドキドキさせといて、さらりとかわす。もちろん、それは当然の展開だ。お約束は守るのが、この手の小説の作法で、枡野さんはヤボじゃない。解説のクドカンも洒落たことで返す。(短歌で解説!)軽いノリの青春小説なのだが、楽しめた。
ふたりの章が交互に出てくる。各章は3ページほど。全体が100章。チェリーボーイの克夫の話と、プレイボーイの伊賀の話。(チェリーボーイ、プレイボーイというのは僕が言うのではなく、この本に書かれてある。各章のトップにその冠があるのだ!)全編ものすごい量の短歌が挿入される。作者の枡野さん自身が歌人で彼と彼の仲間たちの作品が網羅されているのだ。主人公の伊賀さんのモデルはもちろん作者の枡野さんだろう。わざとそういうふうに意識させるように書かれる。狙いがびしばし伝わる小説で、なんだかあざといけど、そういうあざとさがこの作品の魅力でもあるから、気にしない。というか、気にならない。すこし、気にしてね、と作者は思っているだろうけど、わざとそっけなく、流す。
テンポのよさは当然の話で、一気に読ませるけど、さすがに後半は息切れしてくる。どこかで、ためを作らなくては長編小説は持たない。でも、いっちゃえ、というノリで最後まで突っ走る。決して出来はよくないけど、こういう小説は好き。うまい小説より、破綻はあるけど、ノリノリのほうがよい。主人公の克夫くんの童貞喪失はあるか、とドキドキさせといて、さらりとかわす。もちろん、それは当然の展開だ。お約束は守るのが、この手の小説の作法で、枡野さんはヤボじゃない。解説のクドカンも洒落たことで返す。(短歌で解説!)軽いノリの青春小説なのだが、楽しめた。