往来の代表作とも言える一篇。久々の再演となる。でも僕はもう3回以上見ている。今回、劇団往来創立40周年作品としての再演だ。2006年の初演から見ているし、僕が在籍していた高校でも生徒に見せている。
気分的にはセリフの三分の一くらいが中国語である。これは大変な芝居だ。主人公の耀子をはじめとして視覚障害者の役がキャストのほとんどを占める。90年代、中国天津を舞台にした音楽劇。視覚障害者のための日本語学校設立をした青木陽子さんをモデルにしたセミ・ノンフィクション。
力の籠った作品になった。ほぼ全員の14名がダブルキャストで、主人公の耀子もダブル。僕が見たのは優希菜が出たヴァージョン。(すべてに出るのは3人のみ)生演奏もあり、豪華な舞台となった。
役者たちは「音楽劇、視覚障害、中国語」という三重苦に挑むことになる。まず大前提としてこれだけの高いハードルを乗り越えないと芝居にはならない。そんな作品に彼らは嬉々として挑む。
安易なことではないけど、歯を食いしばり、ではなく、とても楽しそうに挑んでいるのがいい。失敗を恐れず、常に新しいことに挑戦する。同時に大切な作品を新しいキャストを交えて何度も再演する。これはそんな往来らしい40周年の記念作品だった。