かなり素直に感動した。正攻法で見せる少年の成長物語。子供の頃、戦争があった。その事実を特別なこととして描くのではなく、たまたまそんな時代に生きた。小学5年生から、中三までの多感な時代が、戦争の時代と重なる。終戦で価値観がまるで違うものになる。それまで教えられてきたことが、意味を為さなくなる。大人も戸惑っているのだが、彼にはそんなこと、まだ理解できない。おかしいとしか、言いようがない。言うてることちゃうやないか、と思う。何を信じていいのか、わからなくなる。だが、父親の姿勢は、正しいと思う。でも、そんな父にも反発する。反抗期だ。
映画はこの少年の正義感を素直に描いていく。でも、正しいことを正しいと言えるような時代ではなかったはずだし、父親が「僕は間違ったことをしていない」と言うけど、警察に捕まり拷問されると、何も言えなくなるのは仕方ないことだ。
水谷豊と伊藤蘭が主人公の夫婦を演じる。だが、実際の主人公は先に書いた少年だ。彼がこの映画のタイトルにもなっているHである。(肇くんである)戦時中からスタートしたドラマは徐々に戦争の影が濃くなり、終戦を迎える。彼の身の回りで起こった出来事が彼の目線で語られていく。ノスタルジックな映画ではない。悲惨な出来事を描くのでもない。これは生活のスケッチなのだ。特別なメッセージはない。降旗康男監督は前作『あなたへ』に続き、今回もとてもフットワークが軽い。無理しない。これだけの大作映画なのに、気張らない。なかなか出来ることではない。さすが超ベテランだ。自由自在。
映画はこの少年の正義感を素直に描いていく。でも、正しいことを正しいと言えるような時代ではなかったはずだし、父親が「僕は間違ったことをしていない」と言うけど、警察に捕まり拷問されると、何も言えなくなるのは仕方ないことだ。
水谷豊と伊藤蘭が主人公の夫婦を演じる。だが、実際の主人公は先に書いた少年だ。彼がこの映画のタイトルにもなっているHである。(肇くんである)戦時中からスタートしたドラマは徐々に戦争の影が濃くなり、終戦を迎える。彼の身の回りで起こった出来事が彼の目線で語られていく。ノスタルジックな映画ではない。悲惨な出来事を描くのでもない。これは生活のスケッチなのだ。特別なメッセージはない。降旗康男監督は前作『あなたへ』に続き、今回もとてもフットワークが軽い。無理しない。これだけの大作映画なのに、気張らない。なかなか出来ることではない。さすが超ベテランだ。自由自在。