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映画・演劇のレビュー

baghdad café『fallbility  モノロ・テクノ』

2013-07-08 21:14:59 | 演劇
 この2つの短編は、いずれも、本来なら長い時間をかけて培っていくものが描かれる。欲望を巡るお話である前者も、愛について語る後者も、それまでの、人生。これからのこと。すべてがそこに包括される。短い時間も長い歳月も同じようにこの30分の芝居に包みこまれ語られる。

 姉と妹。友人。三者の関係性を物への執着、お金を通して、描く。3人はあまりに違う別々の存在だが、それなのに、そのことが反対にひとりの人間の3つの側面を指し示すようにも見える。

 ひとりの女の一生涯を4人の女が同時に4つの側面から見せていく。役割分担はあるけれど、それが重なりあったり、離れたりしながら、彼女の内面外面すべてを語り、描き尽くす。初恋、失恋、不倫、出産、老い。男女の関係を中心にして。こちらは4人でひとりだから、反対に人間のさまざまな側面を指し示すことになる。

 この2つのお話は表裏一体になっている。泉さんはとても自由に短編だから出来る実験をする。長い時間を描くためには、短編のほうがストレートに語れることを証明する。象徴的なドラマを通して、短編作品の一つの可能性を示した。


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