
このタイトルはインパクトある。もちろん『トイレの花子さん』と引っ掛けてある。介護職に就いた山田花、彼女は呑気であまり何も考えていない。明るいだけが取り柄の女の子。そんな22歳の奮闘記である。3Kと言われる介護の現場にたまたま入った花。大学を出たけれど就職先がなく、唯一採用された介護職。だけど親友や家族という周りは早く辞めて再就職先を探せばと言う。本人もこんな大変な仕事だとは思わなかったみたい。やはり暢気。持ち前の明るさでみんなを元気にする、とかいうよくあるパターンになる。だけど高齢者向けの介護施設である。そこは死と隣り合わせ。これは入居者とのエピソードを通して彼女が少しずつ成長していく姿を描くお仕事小説。
入居者様という言い方がとても気になった。少し前病院で患者のことを患者様というような指導があったけど(今はもう言わないのかな?)同じ違和感である。そこからはなんだか患者や入居者を反対にバカにしているようなニュアンスを感じる。だから僕は好きではない。だけど今もそう言っているのかな。
「ふぁんホーム天王町」は高級介護施設。4階建てマンションタイプのサービス付き高齢者向け住宅。98歳の入居者もいる。そこで働き始めた花だが、予想通り厳しい仕事に根を上げる。久しぶりに会う友人たちからなんとなく見下されている気がして気分はよくない。若い女の子がする仕事ではない、ていうニュアンスが会話から感じられてなんだか腹立たしい。自分だって転職先を探しているにもかかわらず。
キツいし、汚いし、だけど、この仕事が好きになる。甘い話だろうけど、こんなふうにして仕事を生きがいを感じることができるといい。