今回のRINK‘Sは、トリイホールでの公演だ。従来よりも狭い。だが、その狭さが決してハンディにはなってない。舞台は従来以上に熱い。狭い空間でたくさんの役者たちが大暴れするのは壮観だ。
休憩10分を挟んで3時間である。毎回、見るほうもクタクタになる。でも、見終えたときに爽快な気分にさせられるのは、これがスポーツ感覚で楽しめるからだ。20分の作品は長編とは違う。だが、それをただのプレゼンにはしない。自分たちの個性を発揮できないわけではない尺数だ。そこで、1本の作品を仕立てて、アピールする。
これは6団体が20分ほどの作品で勝負するイベントなのだが、若手にとっては挑戦にもなる。今回見た最初の2団体がまさにそうだろう。正直言うとつまらない。2本見たとき、今回の公演は大丈夫なのか、と心配したほどだ。だが、そういう集団も含めてプッシュするのがプロデューサーである石田1969さんのやり方なのだろう。評価の定まった団体だけではなく、まだ、何物でもない集団にチャンスを与え、ちゃんと撃沈してもらう。それでいい。自分たちの個性を押し出して、そのうえでの撃沈だ。潔いではないか。つまらなくても、そこにある可能性を石田さんは評価したのだろう。バラエティに富んだ選択。でも、石田さんの個性が前面に打ち出された選択。そうでなくては意味がない。
これはただのイベントではなく、石田さんの作品なのだと、改めて思った。彼が担ぐのではなく、彼を担ぎ、彼の作品としてプロデュースする。全体の構成も含めて、まず彼の意向が前面に出る。それでなくては意味がない。結果的に主演は石田さん自身となる。
各作品の完成度とか、内容については今回あまり触れない。そんなことより、全体の構成のほうが気になった。僕が見たのはAプロなのだが、2作品が稚拙。だが、見ていて嫌な気分にはならない。彼らの全力がそこにはちゃんとある。それ次の「ほどよし」も同じだ。ハイテンションが、空回りしない。その手の抜かない全力投球が心地よく、そこで、前半は終了する。だが、このまま、同じペースでやられたなら、いささかキツイ。でも、大丈夫だ。
後半、対照的な2作品。「がっかりアバター」は、一見観客参加型イベントに見せかけて、実はちゃんと考えられた構成で、ばかばかしさを確信犯的に行う。僕と舞台上でセックスしませんか、と声をかける。すると、何人かの観客が手を挙げる。もちろん、サクラなのだが、フェイク・ドラマを見せるのではない。そこを逆手にとって、台本のあるアドリブとして見せていくのだ。対して、「匿名劇壇」は、シュールな短編を緊張感のある空間のなかで展開する。オーソドックス。完成度はすこぶる高い。理詰めではなく、どこに本当があるのかなんてわからない。でも、20分の作品なら、これでいい。わからないままの恐怖を見せる。
最後に東京から招聘した「犬と串」。これはなんとサイレント劇だ。ばかばかしく、たわいない話で、笑わせてくれる。だが、それがラストで暴走して、唖然とさせられる。こちらも確信犯だ。裸や、チンポで、笑わせるのは邪道なのだが、それを彼らは御ふざけではなく、本気でやっているのが心地よい。ちゃんと計算されている。でも、ただのバカだ。バカとばかばかしさは違う。でも、それを同時に見せて成立させるのは至難の業ではないか。
全体として軽い作品が並ぶ。それでいい。20分というのはそういうことだ。ショーケースにとどまらず、でも、バランスも崩さず、3時間のなかにきちんと収まる。LINX‘Sは、いろんな意味で成熟してきた。
休憩10分を挟んで3時間である。毎回、見るほうもクタクタになる。でも、見終えたときに爽快な気分にさせられるのは、これがスポーツ感覚で楽しめるからだ。20分の作品は長編とは違う。だが、それをただのプレゼンにはしない。自分たちの個性を発揮できないわけではない尺数だ。そこで、1本の作品を仕立てて、アピールする。
これは6団体が20分ほどの作品で勝負するイベントなのだが、若手にとっては挑戦にもなる。今回見た最初の2団体がまさにそうだろう。正直言うとつまらない。2本見たとき、今回の公演は大丈夫なのか、と心配したほどだ。だが、そういう集団も含めてプッシュするのがプロデューサーである石田1969さんのやり方なのだろう。評価の定まった団体だけではなく、まだ、何物でもない集団にチャンスを与え、ちゃんと撃沈してもらう。それでいい。自分たちの個性を押し出して、そのうえでの撃沈だ。潔いではないか。つまらなくても、そこにある可能性を石田さんは評価したのだろう。バラエティに富んだ選択。でも、石田さんの個性が前面に打ち出された選択。そうでなくては意味がない。
これはただのイベントではなく、石田さんの作品なのだと、改めて思った。彼が担ぐのではなく、彼を担ぎ、彼の作品としてプロデュースする。全体の構成も含めて、まず彼の意向が前面に出る。それでなくては意味がない。結果的に主演は石田さん自身となる。
各作品の完成度とか、内容については今回あまり触れない。そんなことより、全体の構成のほうが気になった。僕が見たのはAプロなのだが、2作品が稚拙。だが、見ていて嫌な気分にはならない。彼らの全力がそこにはちゃんとある。それ次の「ほどよし」も同じだ。ハイテンションが、空回りしない。その手の抜かない全力投球が心地よく、そこで、前半は終了する。だが、このまま、同じペースでやられたなら、いささかキツイ。でも、大丈夫だ。
後半、対照的な2作品。「がっかりアバター」は、一見観客参加型イベントに見せかけて、実はちゃんと考えられた構成で、ばかばかしさを確信犯的に行う。僕と舞台上でセックスしませんか、と声をかける。すると、何人かの観客が手を挙げる。もちろん、サクラなのだが、フェイク・ドラマを見せるのではない。そこを逆手にとって、台本のあるアドリブとして見せていくのだ。対して、「匿名劇壇」は、シュールな短編を緊張感のある空間のなかで展開する。オーソドックス。完成度はすこぶる高い。理詰めではなく、どこに本当があるのかなんてわからない。でも、20分の作品なら、これでいい。わからないままの恐怖を見せる。
最後に東京から招聘した「犬と串」。これはなんとサイレント劇だ。ばかばかしく、たわいない話で、笑わせてくれる。だが、それがラストで暴走して、唖然とさせられる。こちらも確信犯だ。裸や、チンポで、笑わせるのは邪道なのだが、それを彼らは御ふざけではなく、本気でやっているのが心地よい。ちゃんと計算されている。でも、ただのバカだ。バカとばかばかしさは違う。でも、それを同時に見せて成立させるのは至難の業ではないか。
全体として軽い作品が並ぶ。それでいい。20分というのはそういうことだ。ショーケースにとどまらず、でも、バランスも崩さず、3時間のなかにきちんと収まる。LINX‘Sは、いろんな意味で成熟してきた。